そして、その頑張る性格は刑務所内でも発揮され、いつしかカヨは女囚たちをまとめる存在になります。刑務所内でのお節介おばさんぶりの回想を経て、誘拐現場からはどんな事実が明かされていくのか、そして女囚たちはどんな目的を完遂しようとしているのか、気になることだらけです。
さて小泉今日子さん。この作品を見ていて感じるのは、彼女が“ヤマトナデシコ七変化”なんだな、ということ。
全キャラクターの中で、いろんな表情を見せてくれるのは、今のところ馬場カヨだけなんです。元・銀行員のキャリアウーマンで実直な性格ゆえ、基本的にはお節介おばさん。刑務所内では、口癖の「冷静に」を連呼しながらせわしなく後輩を指導していたと思ったら、空き時間には腰を据えて、愛息子に読まれない手紙を書く。その一方で、ギャグやボケを連発する一面もあって。その、一見、一貫性のなさそうな人間性が馬場カヨの魅力で、そんなコロコロと機微が変化する難しい女性を演じられるのは、なんてたってアイドル・キョンキョンだけだと思うのです。
デビュー35周年、彼女はビジュアルだけではなく、リスクを顧みない潔い生き方も常に前衛的で、私たちの先輩でした。その経験や感性の豊かさから、傷害罪で服役した元主婦というヘビーな設定でも“可愛らしいおばさん”に魅せることができるんだろうな、というのがスナイパー小林観測。
『最後から二番目の恋』(フジテレビ系・2012年)で演じていた吉野千明役は、ミーハーであまり使いたくはない言葉ですが、ひたすら“共感”の連続だったんですよね。今回も、勝手に「ああ、またあんなキョンキョンに会えるのか」と期待していたのですが、第一話を見たらそんな妄想はすべて覆されました。このドラマ自体が面白すぎるから! 冷静に!!
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