社会

痴漢に遭った被害者が知る実態と、世間でイメージされる痴漢は全然違う

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 イベント内でも「なぜ痴漢というと、冤罪の話になってしまうのか」「女性が被害に遭わないためにも、男性が冤罪の恐怖から解放されるためにも、女性専用車両、男性専用車両を分けたほうがいいのか」というテーマがあがりました。

 ライターの小川たまかさんは、女性専用車両にも男性専用車両にも反対していない、しかし積極的に賛成もしていないそうです。被害に遭って苦しんでいる人に安全圏が必要ではあるけれど、それは痴漢問題の根本的な解決にはならないし、女性専用車両を許さないという活動をしている人もいる現状では、今度は専用車両の数で男女が対立するだけなのではと懸念していました。それに対してAV監督の二村さんは、「専用車両に乗るのを選択するのではなく強制力を持って男女全員の車両を分けたほうがいいのでは。ディストピアのようだし、セクシャルマイノリティの方には申し訳ないけど」という意見。「理想論かもしれないけれど人間の善意を信じたい」と小川さんは返しました。

 私自身は小川さんにほぼ賛成で、積極的に賛成もしないけれど反対もしないという考えです。被害に遭って苦しんでいる人の安全をまず確保する施策は必要だと思いますが、一方で「注力すべきはそこなのか?」という疑問もあります。それよりも満員電車を解消する施策を総合的に考えていく必要があるのではないかと思います。

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議論が尽きない「女性専用車両」「男性専用車両」

 イベントの最後は「どうしたら痴漢をなくせるか」で締めくくられました。まず加害性を自覚することが大事、というのが登壇者の共通見解でした。

 「すべての人間に加害性がある」だからこそ「痴漢は依存症だと認知されるべき」と二村さん。小川さんは「女性でも子どもへの虐待など弱い人への加害をする可能性はあるのに、自分はやらないと思っている人こそ危ないと思う。痴漢も同じなのでは」「あなたにも薬物依存になる可能性があるといっても怒る人は少ないのに、痴漢になる可能性があるというと怒る人はこんなにも多いのはなぜか」と疑問を呈しました。それに対して二村さんは「男性は傷ついていてる、愛されていないことに」「自分は愛されないと思いこんで、みっともない自分を認めるのが苦手で、強烈な被害者意識を持つ」と語りました。

 状況を改善するには、痴漢を取り巻く現状についての知識やデータ、丁寧な解説が必要です。イベントでも、痴漢は依存症だと知られるためには「この本が100万部売れればいい」という話になりました。

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卜沢彩子

1987年生まれ。子どもの頃からの度重なる性被害経験を、2009年から実名・顔出しでサバイバーとして発信。個人やNPOで支援・啓蒙活動をつづけている。2016年に複雑化した社会問題を解決するためにA-live connectを開業。恋愛・性をはじめとした人間関係やコミュニケーションに関する相談や講演活動、記事執筆、SEX and the LIVE!!プロジェクトの運営など場作りを行っている。英才教育を受けたオタク。和柄とねこが好き。

twitter:@ayakourasawa

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