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是非論だけで終われない離婚・別居後の「面会交流」 子供を最優先に考えた面会の支援方法の選択肢が増えることこそが必要

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例1:

子どもが7歳と4歳、子どもと一緒に住んでいる親は、離婚した相手に住んでいる家に来てもらいたくない、としましょう。家に来てもらいたくないのは、感情的な理由かもしれませんし、過去にDVを受けていたといった理由も考えられます。

 この場合、必ずしも「家に来てもらいたくないから面会交流はしない」という選択肢しかないわけではありません。例えば、月1回程度、子どもの祖父母に付き添ってもらい、近所の公園やショッピングセンターなどで待ち合わせをし、夕方になったら祖父母が迎えに行く、という方法が考えられます。長時間、特に外で過ごすことで子どもの体調が崩れること、あるいは子どもが成長により同じ場所に飽きてくる可能性もありますから、季節や天候などによって、待ち合わせ場所や面会場所などを変えるのがよいでしょう。

 また、運動会や授業参観などの行事を別居した親が見に行くこともあります。

例2:

 子どもが16歳と、先程の例よりも成長していたらどうでしょうか。

 この場合、子どもが携帯電話を持っている場合も多く、同居していない親が子どもに直接連絡を取って会うことが多いようです。この年にもなると、同居している親が促したとしても、子どもが別居している親と会うことを嫌がることもありますし、思春期ということもあって同居している親とすら口も聞かない子もいるくらいです。そのため、裁判所が面会を促すような介入をする事例はあまり聞きません。ある程度成長した子どもについては、子ども本人の意思を尊重しているわけです。

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 これらはあくまで例に過ぎません。面会交流の方法にはいろいろな工夫が可能ですし、事前に決めた面会交流が行われない理由も様々にあります。

 例えば、同居中にDV(子どもの目の前で夫婦間のDVが行われたらそれは子どもに対する虐待です)などがあった場合、子どもへの悪影響を考慮し、裁判所から面会が制限される決定が行われることもあります。ただ、実際にこうした決定が下されることは少なく、ほとんどの場合で面会が認められています。

 子どもに対する虐待は、きょうだい間での差別的扱い、親同士のDVも含めて法律に定められていますが、離婚となると、DVなどの影響を同居親が主張しても、その是非が十分に調査されないまま軽視されて調停などで面会を強引に勧められることが往々にしてあります。離婚調停などの家族関係の争いが多く裁判所に持ち込まれるようになったにもかかわらず、裁判所に予算が増えないために調査をしている余裕がないためと言われています。

 面会交流は、法律で定められているように、第1に子どもの成長のために行うべきであって、虐待が疑われるような場合、DVや夫婦間、子どもへのつきまといなどの影響を無視するべきではありません。子どもにとって面会自体が負担にならないような慎重さが必要です。子どもの代理人をつける制度自体はあるのですが、なかなか面会交流を行う調停で、子どもの代理人をつけてもらうこともできていません。

 実際、離婚した直後の元夫がはじめての面会で子どもを殺してしまった事件もありました。安易に「面会できるようになればいい」というものではないのです。子どもを面会させる側の同居親がこのニュースを見たあと、会わせることに不安になった事例を私はいろんなところで見聞きしています。

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佐藤正子

滋賀弁護士会。通称サトマコ(@SATOMasako)。大阪市生まれ。2005年より2011年まで大阪、その後は滋賀県高島市にて弁護士として働いています。一般財団法人河合隼雄財団監事、季刊刑事弁護編集委員、日弁連取調べの可視化本部事務局員など。美人でセクシーかつおもしろくてかしこい人になるのが目標です。2015年12月に女児を出産して、夫1人子ども1人の家族で暮らしています。

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