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是非論だけで終われない離婚・別居後の「面会交流」 子供を最優先に考えた面会の支援方法の選択肢が増えることこそが必要

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 冒頭で紹介したように、親子断絶防止法という法律が親子断絶防止法という法律が国会議員間で検討されたことがあります。しかし、私は、面会が安全に行われる制度の保証がほとんどないまま、別居親に継続的に会わせるのが原則であるというこの法律については賛成しません。推進するウェブサイトには、「あくまで子どもに会わせるべき」ということが書かれていますが、すでに今でも裁判所でも十分に(むしろ強引と感じることも多くあります)同居親に対して面会が勧められているのです。むしろ現状会えないという親にはなんらかの理由があるのではないか、会えない親の言動をSNSなどで見るたび、感じます。

 もちろん、面会交流を安全に行うための支援が十分ではない、という問題もあります。離婚調停などが増えたにもかかわらず予算が不十分で、調査官による十分な調査や試しに短時間の面会を繰り返して様子を見つつ調停を進めて最終的な取り決めをする余裕がないと言われているのもそのひとつです。また、協議離婚や面接交渉の調停後などに面会交流を支援する団体(例:公共社団法人 家族問題情報センター)のほとんどは無償ではありません。また、地域によっては、そのような団体がない、遠く離れていると利用しにくいところもあります。裁判所で面会交流について調停をしても、面会を裁判所で行うのはせいぜい数回ですし、平日昼間にしか裁判所は空いていません。実際、小さい子どもは慣れない場所に連れて行くとそれだけで緊張して、ギャン泣きすることもあります(うちの子がそうです)。

 明石市では市役所で面会交流支援を行っているようです。できれば、このように収入が低い人でもハードルが低く、利用しやすいサービスが増えると実質的に別居した親も利用しやすいので、このような取り組みが広がることを心から強く希望します。

 現在、面会交流については、立場の違う人々の間での言い争いが巻き起こっています。しかし、一般論で面会交流の是非を論ずるのではなく、どうすれば子どもの成長にとって望ましい形で安全に面会交流を実施することが出来るのか、そのためのサポートをどう整えていくのか、などきめ細やかな議論こそが重要なのです。

※11月15日:一部表記を訂正いたしました。

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佐藤正子

滋賀弁護士会。通称サトマコ(@SATOMasako)。大阪市生まれ。2005年より2011年まで大阪、その後は滋賀県高島市にて弁護士として働いています。一般財団法人河合隼雄財団監事、季刊刑事弁護編集委員、日弁連取調べの可視化本部事務局員など。美人でセクシーかつおもしろくてかしこい人になるのが目標です。2015年12月に女児を出産して、夫1人子ども1人の家族で暮らしています。

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