社会

誰しものなかに貧困への差別心がある前提のもと、私たちは社会保障について考えなければならない/『助け合いたい』さいきまこ×『失職女子。』大和彩対談・前篇

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ーースマホを持っていたり、身ぎれいにしていたりすると「ほんとうは貧困ではないのでは」と思われるのですね。

大和でも、人と会うときに汚い格好では失礼ですよね。『失職~』を出版した後いろいろとインタビューを受けましたが、身だしなみを最低限整えていくと、『想像と違いました』といわれることがよくありました。もっとボロボロの格好をしていると思われていたのかも……」

さいき実は私も初めて生活保護を受給している女性に会ったとき、その方がすてきなイヤリングをしているのを見て、『アクセサリーを付けるんだ!』と驚いたことがあるんですよ。でも、驚いたということは、自分の中に『貧しい人はおしゃれなんかするものじゃない』という差別意識があったということです。そういうのって相手に毒矢を放つのと同じなんですが、それはいつか自分に返ってくるんですよ」

大和ブーメランってことですか?」

さいきはい、差別意識が強いほど自分が追いつめられたときに苦しくなりますよね。自分が差別していた人と同じことをするのには、抵抗がありますから。でも人って、実際にそうなってみないとわからないものです。そういう意味では、自分のなかにある差別意識や偏見、それを持ってしまう弱さをもともと自覚している人のほうが、いざ苦しい状況になったとき強いのだろうと思います」

*   *   *

『助け合いたい』では、夫の死後、経済的に困窮したうえに身体の自由がきかなくなってきた妻と、うつと診断され失職中の息子とが生活保護を利用して生活の立て直しを目指す。さいきさんと大和さんの対談、後篇では保護を受けて可能になる「回復」「立て直し」についてお話していただく。

▼後篇:心身の回復にかかる時間、回復するか否かは誰にもわからない。生活保護は心と命とを支える社会保障である

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三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(ともにWAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

twitter:@MiuraYue

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助け合いたい~老後破綻の親、過労死ラインの子~(書籍扱いコミックス)