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子連れで居酒屋、いいじゃないか。隔離された無菌状態の子育ては無理なのだから

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Photo by Quinn Dombrowski from Flickr

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 大学生の頃に受けた心理学の講義で、教員が「産後うつ」の話をしたことがあった。親密性の高い夫婦であっても育児ストレスのレベルが高くなると抑うつは抑えられなくなることが調査で明らかになっているとのことで、「産後うつにならないためには、1時間でも2時間でもいいから、時々子供と離れて息抜きすることが重要」だと。続けて「今の時代は、託児所などでちょっとお金払ったら子供を見てもらえるんだから、どんどん利用すればいい。旦那さんや旦那さんのお義母さんから『子供預けて遊びに行くなんて何事だ!』と言われたら、『産後うつにならないためにリフレッシュが必要だと大学で教わった』とちゃんと説明すればいい……」。当時二十歳にもなっていなかった私は、その教員は大変良い話をしてくれたと思った。

 ところが、実際に子供を産んで思い知らされたのは、そもそも“お金を払えば子供を預かってもらえる場所”自体が不足しているという現実だった。

 確かに私の住む地域にも「一時保育」は存在していた。自治体による一時保育事業(認可保育園で、保育園に通っていない未就学児を概ね8時半~17時頃まで預かる制度。利用料は12,500円前後)と、認可外保育園による一時保育(利用料は1時間1,000円超)があったのだ。しかし両者とも定員が少なく、待機児童問題の事情もあり、誰でもいつでも気軽に預かってもらえるような状況ではなかった。親自身が産後うつにならないためにはリフレッシュが不可欠……と理解・実感したところで、実行のハードルは思ったよりも高いと感じてしまった。

 まず自治体の一時保育は、認可園による保育でしかも利用料がリーズナブルなので、ものすごく競争率が高かった。1カ月に利用できる日数は決まっており、翌月の利用予約は前月の定められた日から受付開始するシステムだったのだが、その予約受付開始日に電話をかけてもなかなかつながらない。つながった時には翌月の予約が全て埋まっている。チケットぴあのようだ。やむを得ず、キャンセル待ちの人数が少ない日を選んでキャンセル待ち予約を行った。ただ、乳幼児は体調が変化しやすいせいか意外とキャンセルする人が出るようで、キャンセル待ち3番目くらいだと運良く預かってもらえることもあり、実家遠方かつシングル親の身としては非常に助かった。

 他方、認可外保育所の一時保育は、待機児童のいる地域だと月極保育の園児で定員が埋まってしまい、現在(一時保育)は受け入れていない、という状況だった。

(※いずれも今から約2年前私の住む地域の事情である。その年によって、あるいは地域によって、一時保育の事情は多少異なってくると思われる)

 そして私の場合、自宅から徒歩圏内の園はすべて(認可・認可外ともに)一時保育の対象年齢が1歳以降となっていたため、当時0歳の子供の一時保育はひと駅先の認可園を利用するしか選択肢がなかった。いざ預かってもらえる日ができたら(もちろん嬉しいことには変わりがないが)、必要なものを準備して、電車に乗って園まで連れていき、あれこれセッティング(着替えやコップや使用済みおむつ入れ)して預け、自分の用事を済ませて数時間後にまた迎えに行き、荷物をまとめて帰宅、というのが一時保育を利用できた日の時間割になる。数時間でも一人の自由時間を得られたら御の字ではあるわけだが……子供を連れて行きにくい場所はもちろんあるものの、一方で、子連れであちこち行くことを受容してもらえれば、“子連れリフレッシュ”も出来る、と今の私は考えている。

 これは、最近話題になっている#子連れ会議OKとも遠くない。子供(子連れ)と大人の生活圏を完全に別にして「子供を連れてくるな」とシャットアウトするのではなく、子連れがいても気にしないでもらえたら……という社会の空気の話である。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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