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はあちゅう氏が証言したセクハラ・パワハラ被害が、日本の#metooムーブメントにも火をつけた

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はあちゅうオフィシャルブログより

はあちゅうオフィシャルブログより

 はあちゅう氏(作家・ブロガー)が、BuzzFeed Japanの取材に対し、電通時代に「今すぐ飲みの場所に来い。手ぶらで来るな。可愛い女も一緒に連れてこい。お前みたいな利用価値のない人間には人の紹介くらいしかやれることはない」「俺に気に入られる絶好のチャンスなのに体も使えないわけ? その程度の覚悟でうちの会社入ったの? お前にそれだけの特技あるの? お前の特技が何か言ってみろ」など、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを受けていたことを証言した記事が話題になっている。

はあちゅうが著名クエイターのセクハラとパワハラを証言 岸氏「謝罪します」BuzzFeed Japan

「加害者」として告発された岸勇希氏は記事が掲載される前日の16日に「Buzz Feed様からの取材について」という題のブログを投稿。BuzzFeed Japanから送られた質問上への回答と、当時自分がしていたことが理不尽であったという認識と謝罪を述べていた。

 18日、岸氏が代表取締役を務める株式会社・刻キタルに、

「私岸勇希は、自分の個人的な問題から、社会を大きくお騒がせしたこと、日頃から信頼を寄せていただき、共にお仕事をさせていただいていた企業をはじめ関係者の皆さまに多大なるご心配とご迷惑をおかけしてしまったことに対する責任を重く受け止め、株式会社刻キタルの代表取締役及び取締役を辞任いたします。なお、同時に同社を退社することにいたしました」

というコメントの書かれた「代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」が載せられ、岸氏が代表取締役および取締役を辞任し、刻キタルを退社することが発表された。

#metooは告発を促すものではない

 今年10月、女優やモデル、従業員らが、ハリウッドの大物プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインからセクハラやパワハラ、性的暴行を受けたと告発した。

関連記事:ハリウッドの怪物プロデューサー、ワインスタイン怒涛のタイムラインと、女性たちの「#Me Too(堂本かおる)

 これをきっかけに主にハリウッドで、「#metoo(私も)」というハッシュタグと共に、過去に受けたセクハラやパワハラ体験をツイートするモデルや俳優が続出した。その流れはいまも続いて、先日もNYタイムスにサルマ・ハエックがワインスタインを告発する記事が載せられていた(「Harvey Weinstein Is My Monster Too」)。

 一方、日本ではハリウッドの流れがほとんど波及しなかった。今年5月に、ジャーナリストの伊藤詩織氏が、同じくジャーナリストの山口敬之氏からの性的暴行を告発したこともあってか、#metooを使い、過去に受けたセクハラや性的暴行を明かすツイッターユーザーも存在したが、大きなムーブメントになっている、とは言い難いものだった。

 むしろ日本のテレビでは、「日本でも昔からあった」「女優側から誘う枕営業もある」と、性的暴行を軽視するかのような発言が聞かれたくらいだ。例えば『バイキング』(フジテレビ系)で司会を務める坂上忍氏は「ワインスタインさんがやったことは確かに悪いことなんですけど、逆もありでしょう、女優さんのほうから実力者に」とコメントし、放送内で終始、ワインスタイン騒動よりも『枕営業」に関心を寄せているかのような態度を見せていた。

関連記事:ワインスタインの性的暴行を「女優が誘う枕営業もあるのに」と軽んじる『バイキング』の異常と、バラエティ番組のエンタメ的売春消費について

  タレントが口を揃えて「枕営業はあった」と発言するような業界で、セクハラや性的暴行がまったくないということは考えられない。それにも関わらず声が上がらないのは、それほどまでに日本が、セクハラや性的暴行の被害を告発しにくい社会だということなのだろう。そのことを考えると、「あなたも#metooをつけて被害を告発しよう」などと無邪気にすすめられないし、ましてや「日本の女優やモデルはなぜ声を上げないのか!」と憤ることなどできるはずがない。

 しかし、だからこそ#metooには意味がある。

 #metooは、被害を告発するためだけに使われているわけでもなければ、被害の告発をすすめるものでもない。被害を告発した人に同意と支援の態度を示すものであり、性的暴行やセクハラにはっきりとNOを突きつけるという意味のものでもあるはずだ。そうした声が集積することで、告発したいと思っている人が声をあげやすくなり、看過されてきたセクハラや性的暴行が見過ごされなくなっていく。

 はあちゅう氏がまさに、この#metooの動きをきっかけに証言を決意したとBuzzFeed Japanには書かれている。そしてはあちゅう氏の記事がきっかけに、日本の#metooムーブメントが大きなものになってきた。この流れが絶えないように、そして#metooという声を集めるだけでなく、実際に社会が変わっていくような流れになるよう促していかなければいけない。
wezzy編集部)

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