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恋はケースバイケース〜たんぽぽ川村エミコさんの超個人主義な恋愛観/桃山商事『生き抜くための恋愛相談』

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恋人同士でも、意見が違って当たり前だと思う

清田 川村さんが過去の恋愛から導き出したご自身の方程式というのは、具体的にどういうものなんですか?

川村 初めて付き合った人とは一緒に住んでいて、生活時間は違ったけど、寝顔を見るだけで満足できていました。お互い想って想われて、という心が繋がっている関係で、それこそが私が理想とするものだなと。今となっては、その人と結婚しておけばよかったと思ってます。

清田 交際時はニュースなどにもなっていましたが、前回の彼氏のときはどうでしたか?

川村 彼は年齢が一回りくらい上の会社経営者で、自分がいいとかカワイイと思うものを、私にも同じようにいいと感じてほしいタイプだったんです。それで、ファッションもコンサバにしてほしいと求められたり、フランス料理のマナーを細かく注意されたり。

清田 相手をコントロールしたいタイプの男性?

川村 そうですね。年齢も50近いから、人として出来上がっちゃってる感じがあって。だから、わかり合えないことがあっても「え、何それ、ウケる〜!」ってギャルみたいな返しをしてふざけるようにしていたんです。「お母さんみたいな格好してるね」と言われたら、次に会ったときに自分から「今日はどうでしょうか?」「う〜ん」「そっか〜、ダメか〜!」みたいな感じで。その場が楽しいのが一番だと思っていたから、我慢してるとかではなく本気でやっていたんだけど、気がついたらイエスマンになっていた(笑)。私も私で、彼に直してほしいところとかもあったけど、なかなか言えなかった。

清田 大事なことを言い出せない気持ちはわかるような気がします。

川村 でもある日、この歳だしもしも彼と結婚することになったら、ずっと言わないわけにはいかないなと思って言ってみたんです。「ちゃんと朝ご飯を食べたほうがいいんじゃない?」とか、「お店で店員さんに偉そうにするのが嫌なんだけど」とか、気になってることを伝えてみた。そしたら一気に向こうの気持ちが離れていくのを感じました。さーっと、波が引いていくように。そこから3カ月間も会わず、ほとんど音信不通だったんですけど、別件で仕事の連絡をしたらすぐに返事がきて……。そのときに終わりを直感し、「もう無理だよね?」と電話で切り出し、結果、別れることになりました。

森田 そうだったんですね。川村さんはある程度、覚悟を持って彼に直してほしいところを伝えてわけじゃないですか。でも、さすがにそこまで引くとは思いもよりませんよね……。

川村 そのときは驚きましたけど、そんな人は無理だなって気づきました(笑)。でも、ずっと意見が合わなくても我慢して黙っていたのに、急に言った自分もよくなかったなと思ってるんですけどね。何でなかなか言えなかったんだろう。

清田 付き合っていく上で、相手に直してほしいことって出てくると思うんです。でも、「これ言ったら嫌われるかもしれない」「付き合うのをやめようって言われるかもしれない」という恐怖があって躊躇しちゃったりしますよね。

川村 付き合い始めてから彼に理想像があることに気づいて、ずっと気を遣って。会うときは、ひとつ仕事が増えたみたいに大変だった。私は、意見が合わないのは当たり前のことで、どこまで歩み寄れるのかが大事だと思っているタイプなので。そういう人とじゃないと、付き合っていけないなと、改めてわかりました。

森田 性格とか価値観とか、合わない部分やすれ違っている部分を互いにチューニングしていく。多分、相手と正面から向き合って付き合うってそういうことですよね。話を聞いていると、川村さんの考えの根底には、自分と相手は違う人間であり、異なっている部分は伝え合って歩み寄りたいという思いがあるように感じます。それは、人としてすごく誠実な姿勢だと思います。でも、前の彼の場合は、違いを伝えてみたら「自分の思っているような女じゃない」となって離れていった。例えば女性は自分の3歩後ろにいるものだと思っているタイプの男性には、川村さんの話は通じづらいのかもしれない。

清田 「人は人、私は私」という考え方って、当たり前のように聞こえるけどなかなかできない。これは本来の意味での「個人主義」ですよね。

川村 相手が好きだからこそ、嫌だなって思うことを伝えたんですけどねえ。

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清田代表/桃山商事

恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆などを通じ、恋愛とジェンダーの問題について考えている。著書に『生き抜くための恋愛相談』(イースト・プレス)や『大学1年生の歩き方』(左右社/トミヤマユキコさんとの共著)がある。

twitter:@momoyama_radio

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