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近藤千尋の1/3の収入でも「平気」な夫・ジャンポケ太田はクズい? 「男性が女性より稼ぐ」結婚観は変えていけるか

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近藤千尋

近藤千尋Instagramより

 結婚を「男性が女性を養うもの」と理解している人は少なくはないが、そうした形式が唯一、絶対、立派な結婚だというわけではない。いろいろな結婚生活の送り方があって、夫婦・家族の在り様はそれぞれ異なる。結婚したら男性に主に稼いでもらい、自分は家事を担う代わりに仕事の負担を軽くしたい女性もいれば、結婚後も仕事に集中し続けたい女性もいるだろう。妻より多く稼がないとプライドが傷つく男性もいるし、仕事や収入の割合は気にならないという男性もまたいる。どれもマッチングさえうまくいけばそれでいいのだろう。

 しかし妻が夫よりも多く稼いでいたり、表舞台で活躍していたりすると“格差婚”と呼ばれる。夫が大黒柱となり妻が専業主婦やパート主婦、非正規雇用などで賃金が低く抑えられていても格差婚にはならない。それが正常な結婚だと私たちは認識してきたからだ。妻よりも稼ぎの悪い夫は、男としてだらしがないとか、恥ずかしいと、蔑まれさえする。

 たとえば最近では、19日放送のテレビバラエティ『有田哲平の夢なら醒めないで ちょっと厄介な独身美女SP』(TBS系)に出演したモデルの近藤千尋(28)が、自身と夫でジャングルポケットの太田博久(34)の収入事情を明かしたところ、同番組で司会を務める有田哲平は、太田を「クズ」呼ばわりする……という一幕があった。近藤と太田は、特に近藤ファンの多い10代女子の間では“理想の夫婦”と崇められている仲良しカップル。

 出演していた女優の高橋由美子(44)が、“元国民的アイドル歌手なのに未だ独身なのはなぜか”という話の流れで、高橋が「結婚が遠のいた瞬間」として、30代後半の頃に交際して8年になる年上男性にそろそろ結婚しないかと持ち掛けたところ、高橋が男性より収入が高いことを理由に「もう2年待ってもらっていい?」と言われたエピソードを告白。相手の男性は「お前(高橋)より稼ぎがないと嫁に貰えない」という考えで、高橋は「もう待てない」と思ったため、破局したそうである。

 そして、この話を聞いた近藤が、夫の太田が近藤の給料明細を見たときの様子を話し始めた。近藤の収入は、太田の収入の3倍。近藤は「どんな反応するんだろう?」「やっぱり男性としてプライドとか傷つけられて、落ち込んでいるのかな」と思ったが、太田は「あ~これでもうアンパイだ」と安堵したという。それを聞いた有田は「クズですね」と即答。近藤は「そんなことないです」と否定するも、スタジオからは笑い声が上がった。

 妻の収入が夫の3倍あれば、それは「アンパイ」だろう。もちろん人気が長く続くとは限らない芸能界だが、おそらく近藤は彼女と同年代の一般女性をはるかに上回るだけの収入を得ているだろうし、太田はそんな近藤の給料明細を見て、今後どちらかあるいは双方の仕事が減り収入が減ったとしても、自分たちが即座に生活に窮するわけではないと思い、ほっとしたのではないか。モデルの近藤と芸人の太田、夫婦ともに人気商売で浮き沈みの激しい芸能活動を生業にしていることは共通であり、ならば、配偶者が現段階において高収入を得ているとわかれば、生計を共にしている者とすれば安堵するのが自然といえる。

 太田は芸人だから「笑われる」のはオイシイだろう。バラエティ番組だから笑いは必要だろう。自分は働かず(生活費を稼がず)飲み歩いたり浮気したり浪費したりの日々で、妻を馬車馬のようにこき使い、一方的に搾取する夫という極端な“クズ”もいるだろう。それはそれとして、上記のような太田の反応を「甲斐性なし」「プライドが低い」といった見方で笑うことが、世の中の男性たちにかかっている無用なプレッシャーと、一般的な男女の賃金格差や管理職割合の著しい開きにまで一直線でつながっていることくらいは想像しておきたい。結局、浸透しきったジェンダー観により、現在進行形で私たちは男女平等の選択肢を持てないままなのではないだろうか。

 妻よりも収入が多くない男性、妻より多く稼ごうと奮起しない男性、そこに暴力や浪費や一方的な搾取がないならば、それ自体は全然悪くないしクズでもない。また、結婚したら自分はパートでもいいから好きな仕事を緩やかにやりたいと考える女性は多いと思うが、男性にもそういう選択肢はあっていい。同時に、出産・育児をする場合、子供を生んで育てながら正社員で働き続けられないから男性の稼ぎを重要視するのだという意見もあるだろうが、それは社会側が改善していかなければならない“働き方”の問題でもある。すべてはつながっていると思う。だからこそ笑いの場面でも、安易に男性大黒柱モデルの結婚生活を唯一解として扱ってほしくないと思ってしまうのだ。言葉狩りをしたいわけでも表現規制をしたいわけでもなく、テレビが面白さを追求して提供する場だというのなら“当たり前”を疑ってみてほしい。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

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Baby-mo(ベビモ) 2018年 01 月 冬春号