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専業主婦志望の女性が、渋谷にオフィスを構える社長になった/上京女子・ケース10

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「諦めてる女の子」を助けたい 

 彼女は、フリーランスでメイクアップアーティストをしたりコンテンツ制作をする、という働き方が自分に合っているとわかった。営業活動を積極的に行ったわけではないのに、仕事が自然と集まってきたからだ。

 仕事が順調に増えていく中で、「これまでの恩返しがしたい」と会社を設立する決意をした。

「これまで、いろんな人に支えられてきて、今は自分がやりたい仕事を自分のペースで出来てハッピーなんです。だから、今度は私がこの恩を次の世代に返す番かなって」

 2017年に彼女が設立した会社の名前は『株式会社ism』。自分らしく生きる人をひとりでも増やしたい、という想いが込められている。

『株式会社ism』では、メディア運用やコンテンツ制作をメインに、広告やポスター作成、雑誌のヘアメイク、動画作成なども行っている。ひとりで初めた『ism』も10人の志を同じくする仲間ができた。また、「フリーランスでヘアメイクをしたい!」「コンテンツを作成してみたい!」という女の子たちへの知識や経験の共有・教育にも積極的だ。

「私は自分が納得できる働き方に辿り着くまで5年かかったけど、周りの子たちに、遠回りはさせないぞって気持ちで、先輩たちから学んだことは惜しみなくシェアしてます」

「この年齢だから」「主婦だから」「週5日は働けないから」……さまざまな理由で、やりたい仕事や、理想の働き方を諦めている女性たちとより良い働き方を模索したいという想いがあるのも、彼女自身が「自分に合った働き方」を見つけるまでにあがいた歴史があるからこそ。

「仕事が楽しいし、幸せ」と語る彼女。渋谷にオフィスを構え、今年5月にはスピード結婚。公私共に順調で、今は東京で夫と一緒に暮らしている。将来的には、地元である愛知にも何か還元できる事業をしていきたいという。

 専業主婦志望だった彼女が、渋谷でオフィスを構える社長になった--一見、正反対の道を選んだと思われがちだが、「誰かをサポートしたい」「大切な人を守りたい」という気持ちは、昔からブレていない。

 渋谷ってごちゃごちゃしていて好きじゃない、と思っていたけれど、渋谷のビルの一室で、日々「自分らしく生きる女子を増やしたい」と願い、行動している彼女がいると思うと、このごちゃごちゃも、ちょっと悪くないかもしれない。今はそう思える。

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今来 今

神戸出身。大学入学を機に上京。出版社勤務を経て、現在ルポライター。映画ライター。

twitter:@imakitakon

ブログ:肉なしライフ(ベジタリアンではありません)

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