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白い砂糖は悪者ではなかった!なぜか根強い「白い食べ物は有害」説

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Photo by Tom Coates from Flickr

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 122日の『あさイチ』(NHK系)で放送された特集「基本の調味料シリーズ 驚き!砂糖マジック」は、とても意義のあるものだったと思う。これまで長きに渡ってうっすらと、まことしやかに囁かれていた「白い砂糖はよくない」説が、専門家の説明によって一蹴されたのだから。

 一口に砂糖といっても様々な種類があるが、今回番組でクローズアップされたのは、いわゆる普通の砂糖、白色の「上白糖」と茶色の「三温糖」だ。

「上白糖は白色に着色されている、漂白されている」
「上白糖は身体に悪い」
「上白糖より三温糖のほうが栄養が多く含まれている」

 こうした説が散見されるようになったのはいつの頃からなのだろう。そういえば私の実家でも今から25年ほど前(90年代)、私が56歳だった頃に、祖母が「自然食品」や「健康食品」に凝り出した影響で、茶色の砂糖が導入され記憶がある。それが三温糖だったのか、黒砂糖やてんさい糖だったのか記憶は定かではないが、健康のためには砂糖は白より茶色という価値観は、私の中にもいつしか浸透していた。

 個人的には、茶色い砂糖は「塩」との取り違えを防ぐには有効だと思うが、味や栄養成分の明確な違いについて実感した経験はない。上白糖と三温糖は両者ともスーパーでお手頃価格で購入できるのだが、値段は私が知る限り上白糖よりも三温糖が若干高い。といっても同じ分量で50円程度の差なので「どうせ買うならちょっとでも栄養に良さそうな(あるいは身体に与える害が少なそうな)三温糖にしよう」と三温糖を選ぶ人もいそうである。なんとなく「白い砂糖よりも、茶色い砂糖のほうが体に良さそうなイメージ」が、確かにあり、上白糖の摂りすぎは健康を害するような気がしていたのだ。

 だが『あさイチ』は、「白い砂糖は体に良くない」説はデマだと示した。

 まず製糖メーカーによると、白い砂糖は「原料糖(元は天然素材のサトウキビ)」を精製して作られていくのだが、機械で原料糖を「蜜」と「結晶」に分離して不純物を取り除き、「結晶」は液状にしてろ過する作業を繰り返すことで白くなっていくのだという。つまり、漂白しているのではない。これを乾燥させることで、上白糖やグラニュー糖やザラメ糖になるのである。そして、これらの工程で発生した「蜜」を煮詰めて結晶にしたのが三温糖だという。三温糖が茶色いのは、過熱を繰り返した結果であるとのこと。結晶にしたのが三温糖である。

 そのようにして作られた上白糖と三温糖だが、両者の栄養価の違いついては、女子栄養大学短期大学部の松田早苗教授が「微々たる差ですね。上白糖に比べて三温糖は、カリウム・カルシウムが若干なんですけれど多く含まれております」と答えた。上白糖100gにカリウム2mg・カルシウム1mgが含まれているのに対して、三温糖100gにはカリウム13mg・カルシウム6mgが含まれているのだという。松田教授は「他の食材と比べてみますと、カリウムについてはリンゴ中ぐらいのもので350mg含まれていますし、カルシウムについては牛乳マグカップ1杯で220mg含まれています。なので、三温糖でカリウム・カルシウムを取るよりも、カリウムやカルシウムはお野菜・果物・乳製品から取っていただきたいと思います」とのこと。

 茶色い砂糖といえば、三温糖以外にも「黒砂糖」「きび糖」「てんさい糖」などがある。これらについては昭和女子大学の高尾哲也教授から説明があった。いわく、黒砂糖はサトウキビを絞って煮詰めて結晶化したもので、サトウキビの中のミネラル分(カリウムやカルシウム)が詰まっている。他方、きび糖やてんさい糖は上白糖と同じような工程で作られた商品に分離した「蜜」が加えられて茶色いそうで、成分は上白糖や三温糖と大差がないのだという。つまり、栄養価が高い印象を持たれている茶色い砂糖のうち、本当に栄養価が高いといえそうなのは「黒砂糖」だけのようだ。

 さらに『あさイチ』では世界中の文献をあさり「白い砂糖が茶色い砂糖よりも健康に害を及ぼすといった科学的根拠」を探したが、それを示す書物は存在しなかったという。これまで白い砂糖は、何の根拠もなく悪者扱いされ続けていたということになる。特集の最後に東京慈恵大学の西村理明准教授は、「(砂糖の)過剰摂取はいけないけれども、私たちの頭(脳)はエネルギーとして糖しか使わないため、適切においしく取ることが大切です」とごもっともな見解を述べた。

 「体に有害」として悪者に仕立て上げられているのは、白い砂糖に限ったことではない。牛乳が癌になるとか、白米がよくないとか、和食がいいとか逆に塩分過多で危ないとか、欧米風の食生活が日本人の体を蝕むとか……とにかく諸説あるとしか言いようがない。こういったかたちで、食生活に警鐘を鳴らす(脅迫的な)情報は現在、ネットや書物、口コミでそこら中に氾濫している。

 何をどう食べるかは個人の判断であり、たとえば中谷美紀が「お砂糖を7年間食べていない」と発言しても、それ自体に問題はない。個人の食習慣はその人の自由で、諸説ある「キケン説」および「有効説」から本人が好きなものを取捨選択し、決定すれば良い。だからこそ同時に、他者に向けて「○○って良くないらしいよ」から始まる食生活の強引な押し付けをしてはならないことも、肝に銘じておきたい。白い砂糖でも茶色い砂糖でも、健康を害しはしないのだから。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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