連載

婦人科系疾患やがんが自然治癒したと主張する人たちに、産婦人科医が伝えたいこと

【この記事のキーワード】

「これをやらないと病気になる、と思うことそのものが病気」とタビトラ先生。温めなくちゃダメ、常温のものを飲まなくちゃダメ、骨盤底筋を鍛えないとダメなど、制限の多い健康法は要注意。

 病気を宣告され必死に活路を模索した過去のある布教者たちもまた、安心や癒しを求めていたのでしょうから、気の毒と言えば気の毒です。その状況を想像してみると、「経過観察で大丈夫」と言われても、やはり人生を左右される大きな病気の可能性が少しでもあれば、きっと自分も平常心は保てません。

 そして「何かやらずにはいられない!」となったなら、自分ならどうか。うーん、そうですね。特別な水も波動も血流アップもこれといった効果が期待できなそうなので、モッフモフの子猫でも手に入れて朝晩顔をうずめ、多幸感で自然治癒力アップ! を狙います。しかし、それで病気が治ったかどうかの因果関係はわかりようがありませんから、当然自分の中だけのお楽しみです。

 努力によって自然治癒を勝ち取ったと信じることができれば、「私ってすごい!」と自己愛が高まり、不安で疲弊した気持ちは癒されるでしょう。しかしそれを他者へのPR材料にしてしまっては、根拠のない効果効能を広め、他人の治療の妨げになるという罪を背負うことに繋がります。「当たるも八卦、当たらぬも八卦」というわけにいきませんから、専門外の人間が、治療について気軽に発信することは控えるべきでしょう。

 そしてもし〈自然治癒〉を最大のウリにしているような案件に出会ってしまったら、そこだけに飛びつかず、詳細を吟味してみましょう。今回タビトラ先生が指摘してくださったような「よくあることだった!」というまさかのオチが待っているかもしれません。

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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