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これって「ブラック校則」? 過去の判例と親が子どものために出来ること

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Thinstock/Photo by recep-bg

 佐藤正子(@SATOMasako)です。こんにちは。

 1月は、子どもが熱を出したので連載をお休みさせてもらいました。子どもを育てる人間にとってつらい季節ですね。子どもはしょっちゅう熱を出すし、近くにいる大人はすぐうつるし、そのころには子どもが復活して「おきてー」とふとんをはがしにやってきます。おかげでなかなか治りません。2月にも同じようなことがありました……。

 さて、今回はいわゆる「校則」について取り上げます。子ども(現在2歳)が通う保育所にも細かい決まりはありますが、ほとんどは面倒を見ている親に対するもので、子どもがやることを制限するものではありません。

 一方、小学校以降は、制服、髪型、持ち物、行動などいろいろな校則があるようです。おかしいと思う校則や対応があったとき、親としてはどうすればいいのでしょう。

髪型について

 大阪府で、生まれつき茶色い髪をした生徒に黒染めるよう指導をした公立高校に対して、精神的苦痛を受けたとして裁判所に提訴したというニュースが昨年秋にありました。この報道をきっかけに、「『ブラック校則をなくそう!』プロジェクト」が始まるなど、理不尽な校則を問題視する声が高まってきています。

 当然のことですが、子どもにもひとりの人間として、自由という権利があります。一方、学校にもどのような教育をするのか決める自由があります(私立、公立や子どもの年齢でその程度は違います)。「校則」問題は、この2つの自由の対立によって生じているわけです。

 髪型については、過去の裁判で、パーマをかけることを禁止する校則は私立高校では問題ないとされています。理由としてあげられているのは、その校則が高校生にふさわしい髪型を維持し、非行を防止するという意味で社会に合うからだとされています。私には高校生に「ふさわしい」髪型がどういうものかよくわからないのですが、ここでは置いておきます。「髪型を目立つようにするのはよくない」というのはいかにも日本社会らしい考え方だなとは思います(皮肉です)。

 髪型ではなく髪色はどうでしょうか? 全ての生徒の髪色は黒でなければいけない。地毛が黒以外の色ならば、黒染めにしなければいけないというのは、もともと茶髪や金髪、あるいは、癖毛の子もいる中で、生徒に対する負担があまりにも大きい校則ではないしょうか。費用もかかりますし、肌が弱い人はそれで頭の地肌が荒れるかもしれません。さらに皮膚科に行くことになると時間もかかります。また、病気で髪の色が抜けたのならさらに病気の子どもに負担を負わせることになります。

 日本に長い間住んでいる人に、黒くまっすぐな髪の人間が多いのは事実です。しかし茶色い髪の人や癖のある髪の人も多くいますし、外国から来た人や外国をルーツに持つ人だっています。日本で子どもが生まれたり、子どもを連れてくることも増えています。その子どもの中には黒くまっすぐな髪ではない人もいるでしょう。そうした人たちにも髪染めを校則で押しつけるのは、憲法14条1項「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」で禁止された人種差別にもあたりうると思いますね。

 公立高校ですから、私立のように「校風を保つ」という理由がそこまで当たり前とは考えられません。公立高校には、成人の生徒もいるくらいですから一般的にはできるだけ自由であるべきですし、髪型を制限しない方がいいのではないかというのが私の考えです。どのような髪型をするのかも精神的な表現の自由のひとつだと私は考えています。なお、私が通っていた国立の高校には髪型の制限はありませんでしたので、赤毛や金髪の人もいました。

 どういう学校であるべきかは、学校や運営する地方自治体の裁量もなくはないのでしょうが、少なくとも、本人にあまりの負担を負わせる校則は違法として許されないのではないでしょうか。都内では、地毛証明書を出させる高校があるようですが、大阪の公立高校でそれで足りないわけですからね。

 裁判の行方が気になるところです。

登下校の方法

 校則と言えば、自転車やバイク通学が禁止されている学校もあります。私が通っていた国立の高校では、髪型が自由なのにバイク・自転車通学は禁止されていました。アンバランスな感じは当時もしましたね。

 私立高校で禁止しているバイク通学を行った生徒に自主退学を迫った私立高校の校則は「不合理ではない」とされた裁判があります。

 しかし、そもそも法律では免許を取ってさえいれば高校生でもバイクの運転ができることになっています。自転車通学を禁じる学校もありますが、自転車に乗ることは小学生でもできます。

 学校により校則は違います。入学する前に自分や子どもに合う学校か、調べて入ることをまずは勧めます。しかし、入ってみて校則で困ることがあれば、「自分でその学校を選んだのだから仕方ない」とあきらめずに、その校則がなぜあるのか、なにか他の手段でその目的を達することはできないのか、など調べてみることは大事なことです。最終的に、目的がおかしい、あるいは、その目的のためにそこまで校則で縛るべきではないということなら、校則を変えるという手段がないか、調べてみてください。

 制服も、戸籍上は女子でもズボンが選べるようになる公立高校がでてきたようです。少しずつ社会は変わっていけるのだと私は思います。

親の対応

 もしかしたら最初に例をあげたような裁判をすることもあるかもしれません。しかし、弁護士をしていて感じるのは、いろんな意味で裁判へのハードルが高いということです。まず、下記の無料相談電話すらあまり使われていません。今日明日で校則を変えることはできませんし、裁判による最終判断が1~数年後ということは珍しいことではなく、残念ながらすぐさま裁判でなんとか現状を変えるというのは現実的に不可能だと思います。

 親としてはなんとかすぐに子どもが苦しんでいるのをなんとかしてやりたいという気持ちも想像できます。そんなときは以下のような対応を取ってみてください。

 公立の学校や幼稚園、保育所なら市役所(区役所)への問い合わせ先が入園時に渡された書類に書いてあると思います。困ったこと、変えてほしいことがあるときには、まずそこに連絡をしてみてください。子どもが学校に通っている場合は、教育委員会へ苦情を言うこともできます。幼稚園や保育所には運営委員会があることも多いようです。私の子どもが通う保育所には保護者会がありますので、委員を通じて「こういうことで困っている」と話をしてみることもできます。私は、直接園長先生にかけあって、子どもの緊急時の連絡方法を通常とは変えてもらいました。

 要望や相談をすることで、学校や保育所との関係が悪くなってしまうのではないかと心配になる人もいると思います。うまく言いくるめられてしまったり、あるいは上手に要望が伝えられないことだってあるかもしれません。

 例えば滋賀弁護士会では、毎週水曜日15時から17時まで(祝日、年末年始等除く)に子どもの権利110番という無料電話相談を行っています(0120-783-998)。子どもでも親でもかけられますので気兼ねなく、ご利用いただければ幸いです。

佐藤正子

滋賀弁護士会。通称サトマコ(@SATOMasako)。大阪市生まれ。2005年より2011年まで大阪、その後は滋賀県高島市にて弁護士として働いています。一般財団法人河合隼雄財団監事、季刊刑事弁護編集委員、日弁連取調べの可視化本部事務局員など。美人でセクシーかつおもしろくてかしこい人になるのが目標です。2015年12月に女児を出産して、夫1人子ども1人の家族で暮らしています。

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