社会

JKビジネス根絶キャンペーン、大人たちに「売り物じゃない」「高値をつけない」周知を

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 内閣府男女共同参画局は、4月を<AV出演強要・「JKビジネス」等防止月間>と定め、ウェブ上で被害防止に関する動画・ポスター・リーフレットを配信している。

 とりわけ目を惹くのが、モデルでタレントの“みちょぱ”こと池田美優(19)を起用している、「JKビジネス問題」を扱った動画だ。

 街を歩いている制服姿の女子高生2人に対して、スーツ姿の男性が「JKってだけで稼げるおいしいバイトあるよ」としつこく勧誘しているところに、池田美優を先頭とした女子高生集団が颯爽とやってくる。彼女たちは「そのJKビジネス、却下!」「JKは売りものなんかじゃない!」「JKをビジネスにするな!」と異議を唱える。そして「JKビジネス、それはバイトと偽って女子高生に性行為とかいろいろ危ないこともやらせるビジネス。ストーカー問題や売春につながることもある。ほかにも、私たちの未来に影響するかも。だからおいしい話に乗っかっちゃだめ。少しでも不安に思ったらひとりで悩まないで相談して。プライバシーは守られるから」と、18歳未満の女子児童に対して呼びかける――という内容。

 池田美優ら女子高生集団の毅然とした態度がとても印象に残る。「女性」であり「子ども」である(「オンナコドモ」と揶揄されることもある)女子高生が、無知で弱い存在として描かれるのではなく、自分の意思を持ち主体的に動く存在として描かれている。相手が男性であろうが大人であろうが堂々と「NO」を突き付ける。見ていて清々しいし、彼女たちを「かっこいい」と感じる。昨今はCMや動画で女性の描き方を巡る炎上騒動が頻発していたこともあり、「女性」「子ども」を単なる弱者扱いせずかっこよく描かれたことは感慨深い。

 とはいえ、決して忘れてはならないのは、どんなに意思が強くてしっかりした子だったとしても18歳未満の児童に対して、JKビジネスの責任を押し付けることはあってはならないということだ。彼女たちに「NO」という責任を求めることは同時に、JKビジネスやAV出演強要の被害に遭っても「NOと言えない子が悪い」という意味を孕んでしまいかねない。

 今回の動画では、堂々と振舞う女子高生集団の姿が描かれた後、児童たちにJKビジネスに潜む危険性と注意喚起、そして相談を呼びかけ、「啓発」しているわけだが、JKビジネスは斡旋する大人と利用する大人がいて初めて成立するものである。だが、内閣府の「若年層を対象とした性的な暴力の啓発」のページには、児童への啓発を目的とした動画やリーフレットのみで、大人への注意喚起や啓発は足りていないのではないか。

 大人向けではなく児童向けのキャンペーンという点においては、昨年7月に東京都が作成したサイトSTOP JKビジネス!」とも共通している。藤田ニコル(20)が起用した「STOP JKビジネス!」では、18歳未満の女子児童に対してJKビジネスの危険性と注意喚起を訴え「絶対、やっちゃダメ。」と呼びかけられていた。しかし、絶対にやっちゃダメなのは何より大人たちなのである。

▼JKビジネス「絶対にやっちゃダメ。」と啓発すべき対象は児童ではなく「大人たち」

 また、今回、内閣府が作成した動画やリーフレットと合わせて、Twitter上では「#JKビジネス却下」「#JKは売りものなんかじゃない」といったハッシュタグも作られている。4月の強化月間に備え、拡散を見込んでのことだろう。しかし少なくとも現時点では、Twitter上で上記のタグを使用したツイート・リツイートはごくわずかで、周知されているとは言い難い。

 インターネット、パソコン、そしてスマートフォンの普及のおかげで私たちはいつでも情報にアクセスできるようになったが、新聞やテレビニュースとは違い、自分の求める情報のみに絞って検索・登録しがちで、興味のあるジャンル以外のことに疎くなってしまう側面もある。Yahoo!ニュースのTOPページに同広告は大きく表示されたりもしてはいるが、JKビジネスの実態自体、大人たちにどれだけ周知されているのかも気がかりだ。「援助交際みたいなもの」「不良女子高生の火遊び」という認識しか持たない人もいるかもしれない。

 東京都では昨年71日に「特定異性接客営業等の規制に関する条例」が施行され、JKビジネスを特定異性接客営業とみなし18歳未満の児童による接客を禁止した。しかし警視庁の調査によると、JKビジネスを行う店は昨年12月末時点で7都府県131店、昨年6月末時点よりも17店増加したという。東京都は全体のおよそ8割を占める83店と、昨年6月末の78店より5店増加している。もっともこれはあくまでも警視庁が把握した数であり実態はまだ不透明。私たちは大人として、大人に「NO」と言い、早期撲滅に努めなければならない。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

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MICHOPA MANIA(みちょぱ まにあ)