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特集「性を語ること」~すべての「性」が「エロ」じゃないし、「エロ」が「悪」なわけでもない

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 本日よりwezzyにて、特集「性を語ること」として、本テーマに関する記事を一週間ほど毎日掲載します。

■特集「性を語ること」記事一覧

LGBTにペドフィリア、ズーフィリア、ネクロフィリアも加えるべき? 「やらせろ連帯」ではなく「やってしまわないための連帯」を
女性の恋愛相談を聞きまくった結果、過剰に抑圧されるようになった私の性欲
「性を語ること」を考える際に読みたい3冊 エロいことば、女性向けポルノ、男性の自慰行為
反射神経の「下ネタ」ではなく、ゆっくりと「性」について語る場所が私たちには必要だ
BLは愛と性を再構築する 「どうして男女じゃダメなんですか?」というヘテロセクシズム
「性」に振り回されるキャラクターが登場するマンガ3冊 性行為の同意、女子高校生、母性
性暴力問題に向き合ううちに陥ったダークサイドから帰還する方法

 wezzyは昨年7月に、姉妹サイト・messyから独立する形で新しく開設したウェブメディアです。messyでは、性行為にまつわる様々なエッセイ、AVレビューといった女性の性欲に関わるもの、ジェンダーやセクシュアリティ、性暴力、貧困などの社会問題……様々な「性」に関する記事を発信してきました。wezzyはその中から、特に社会問題に関するもの――正確に言えばいわゆる「エロ」でないもの――に特化したサイトになっています。

 wezzyを新設することになった理由はいくつもあるのですが、その中でも大きいものが「性を語ることの難しさ」でした。

 messyを立ち上げて早5年。その間、少しずつではあるものの「性」に関する様々な問題に対して、社会の関心も高まってきたように思います。LGBTなど性的マイノリティの存在、#metooをはじめとした性暴力に関するニュースがマスメディアでも大々的に取り上げられるようになってきました。しかし相変わらず「エロ」へのタブー視は根強いままです。結果的に、「エロ」を明るく楽しく語りながら同時に「性」の議論をしようというmessyの試みは理想通りに機能しませんでした。

 言うまでもなく「性」という言葉には、「エロ」とされるものも含まれています。私たちはジェンダーやセクシュアリティ、性暴力など「性」に関わる社会問題を考えているだけでなく、日常的に「エロ」を楽しんだり、あるいは苦しんだりしています。それにも関わらず、「エロ」を無視して「性」を語ることには限界があるのではないでしょうか? そう考え、messyでは明るく楽しい「エロ」も、そうではない「性」の話も、同時に扱ってきました。

 しかしwezzy創設前のmessyは、読者の皆さまから「成人漫画の広告が気になる」「性暴力に関する記事にふさわしい広告ではない」というご指摘をいただいていました。こうした読者からのご意見は、wezzyを新設する大きなきっかけでもありました。

 昨年、姉妹サイトmessyに掲載した「インターネットで性を語ることは、ヘイトスピーチと同列の反公序良俗行為でしょうか?」でも紹介した通り、messyは掲載可能な広告が非常に限定され、性暴力を「エッチでソソる行為」と解釈したコンテンツのネットワーク広告も表示されます。性暴力が「エロ」だと判断されている現状があるということです。「女性向けのエロ」市場はいまだ男性向けの市場と比較すれば非常に小さな世界であり、そして「男性向けのエロ」の中にはmessyが常々訴えてきた「女が主体的に性を楽しむ」ことからはかけ離れたコンテンツが少なくありません。

 しかしmessyがアダルト情報を主に掲載しているwebサイトである以上、前述の通り、そこに掲載可能な広告はおおざっぱな括りでの「エロ」商材にほぼ限定されます。無料で読むことのできるwebサイトのほとんどが、主に広告からの収益によって成り立っており、そもそも掲載可能な広告が限定されているmessyはその掲載を容易に拒否出来る立場にはありません。こうした葛藤を経て、messyからwezzyは分離していきました。簡単に言えば、明るく楽しく「エロ」についておしゃべりをしている場所で、真面目に「性教育」の議論をしようとしてもエッチな雑談と誤解されてしまうため、今は同じ場所で話すことは止めよう、ということです。また、児童がアダルトコンテンツに簡単にアクセスできる環境が望ましいことなのか、という問題も考えなければならないでしょう。

 このように、たった一言で片付けられない問題が複雑に絡み合っている「性」を「語ること」には、様々な困難が付き纏います。しかし、だからこそ「性を語ること」を諦めてはいけないのではないでしょうか?

 今回の特集では、messyのように直接的な言葉で「エロ」を取り扱うことはいたしませんが、複数の執筆者に「性を語ること」についての記事をご執筆いただきます。もちろん、言及できていない問題もたくさんあります。むしろ、言及できなかった問題のほうが多いくらいでしょう。これらはまた別の機会で取り上げていく予定です。

 様々な分野、視点から語られる記事が、「性」そして「性を語ること」について考えるきっかけとなれば幸いです。

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