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マツコ・デラックスの「女性目線は偏見」に同意。女性目線を求めるのも、女性代表を気取るのも歪なこと

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わたしたちは愛についてよく知らない

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 412日放送の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、マツコ・デラックスや有吉弘行が「女性目線」という言葉について言及していた。同番組は、視聴者から寄せられるメールに書かれた悩みや怒りや疑問を机上に乗せ議論するかたちで進行する。12日の放送では、24歳の女性会社員から「『女性目線』って一体何が求められているんでしょうか?」と問いかけるメールがピックアップされた。

 「男性が圧倒的に多数の職場で務めている」というこの女性は、ミーティングの際など度々「女性的にどう?」と意見を求められるが、正直「何が『女性目線』なのかよくわかっていません」とのこと。だから「おそらくこうだろうな、というふわっとした意見」ばかり言っているという。

 マツコはまず、「この業界がまさしくそう、各局会議で毎日のように女性目線って出てきていると思うけど、でもそれは、男性が想像しての、おそらく女性はこれを求めているであろうという『女性目線』」「プラスこの世界にいる女の子ってどうしても男脳になってきちゃうのよ。だから彼女たちの意見もどっかに男の価値観とか目線が入った、フィルターが通った女性目線」と言及。また、マツコは男性だが女装家であるため「女性と男性の気持ち両方わかるでしょう」と質問されるが、「両方わかんねーよ」とのこと。そりゃそうだ、と思う。

 マツコは「女性目線という言葉自体が女性に対する偏見や差別の上にできている」「男性目線も同じ」と指摘し、「女の人が美味しいと思ったりいいなと思ったりするものは男の人もいいと思うし、女の人が嫌だなと思うものは男の人も嫌なんじゃない?」と、至極まっとうな見解を示した。さらに、「女性目線」という言葉の曖昧さから、「メディアが女性を煽って女性同士の対立を促している構図」まで可視化していた。

 今回、番組にメールを送った女性会社員同様、多くの働く女性は仕事で「女性目線」を求められ困惑したことがあるのではないだろうか。世の中には大勢の女性がいて、ひとりひとりが全くの別人であり、たとえ同世代であっても趣味嗜好も思考回路もさまざまだ。だから私はイチ女性でしかない自分の目線を「女性目線」として語ることに抵抗がある。そもそも求められて提示した“物の見方”が、自分が女性であるがゆえに持つ目線かどうかも定かではなかったりもする。また、化粧品や生理用品などにユーザー(消費者)としての意見はあるが、それは「女性だから」とはまた違うものだろう。こうした理由から、私の場合は「女性目線」を求められても、何を答えればいいのかわからない。

 しかし逆に、自ら全体を代表する女性もメディアにはしばしば登場するから始末が悪い。「女性目線から言うと…」「女的には…」と、女性代表のごとく「女性目線」を語り出すとき、その意見は誰の心も代表していない。トークバラエティなどで司会者が「女性としてはどう思う?」という話の振られ方をして、女性タレントが「女の子はやっぱり~」と答えるシーンもよくあるが、正確には「あなたはどう思う?」「私は~」だろう。

 私自身は性自認が女性で、異性愛者で、髪を伸ばしたりスカートをはいたりする「女」だが、自分が1mmも共感できないような意見を、テレビや雑誌で女性代表が「女性目線ではこう」と断定的に語るたびに頭の中にはてなマークが浮かぶ。恋愛コラムなんかもそうで、「女性はこう、男性はこう」と勝手に性質や行動パターンを決めてかかっているものがあまりに氾濫しているからうんざりだ。

 それはマツコの言うように、男性だって同じであろう。女性代表として女性目線を語れるような女性も、男性代表として男性目線を語れるような男性も、この世には1人も存在しないはずだ。マーケティングリサーチをしたところで、わかるのはあくまでも「傾向」でしかない。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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