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『あなたには帰る家がある』木村多江の十八番・淡々と闘志を燃やす“幸薄妻”をプレイバック!

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『あなたには帰る家がある』公式サイトより

 春ドラマの放送がすべてスタートしました。今回は『あなたには帰る家がある』(TBS系・毎週金曜22時放送)に出演する木村多江さんについて。この作品、今クールのドラマでは女性人気No.1ではないでしょうか。美しさに震える主演の中谷美紀さん、いつの間にかマッチョ化した玉木宏さん、笑いも演技も一線級のユースケサンタマリアさん。そして年々、得もいえぬ色香の密度をアップさせていく木村多江さん。出演者を文字に起こしただけでこのドラマは面白い、と判定。

“佐藤真弓(中谷美紀)と秀明(玉木宏)は、中学生の娘を持つ共働き夫婦。マンネリ化も当たり前になりつつある、結婚13年目です。そんなある日、住宅販売会社の営業マンである秀明が茄子田家の建築を担当することに。そこには風変わりな夫・太郎(ユースケサンタマリア)と専業主婦として家庭を支える妻・綾子(木村多江)がいた。寂しげ、でも美しさを秘めた綾子に惹かれてしまった秀明は、つい身体の関係を持ってしまう……”

「不倫」「すれ違いばかりの夫婦」とテーマだけを見ればどこにでもありそうなドラマです。でも、普通では終わらせないのが木村多江さん。

 茄子田綾子は高校2年生の息子を持つ専業主婦。夫の両親と同居をしながら、家事に没頭することで自分を幸せだと納得させてきた女性です。夫の太郎は金にうるさい上に、男尊女卑をいまだに貫くという現代にはまったくそぐわない亭主。第二話では、そんな2人のベッドシーンがありました。和室に並ぶ2組の布団。太郎に「おい」と声をかけられると、パジャマのズボンと下着を脱いで布団から出す綾子……そして行為の後にキッチンでひとり涙ぐむ。

 見ていてゾッとしながら、戦前後の大和撫子を貫いた女性像を彷彿しました……。選択肢のなかった当時の女性たちは、夫へ尽くすことが幸せであり、義務とされていたそうですが、現代は違います。働くことも別れることもできる、何より人としての人権があります。でも、夜中のキッチンで泣きながら鍋を磨く綾子は、その勇気が持てないでいる自分が悔しくなったのではないかと、綾子の思いを想像。その想像を確かなものにするような綾子のセリフがいくつかあります。

「私……幸せです。でも寂しい……」

「私、家庭を捨てるつもりはないです。佐藤さんの家庭を壊すつもりも……。だから……時々でいいの。“奥さん”なんて呼ばないで。名前で呼んで……」

 どちらも浮気相手の秀明に向けた言葉なのですが“……”が必須になるほど、話し方がため息まじりで暗い……でも木村多江さんにはよく似合う。か弱そうな姿に見える綾子に惹かれて浮気をした秀明ですけど、実際はこういう女性こそ、むちゃくちゃ強いと思うんですよね。本当に弱くてどうしようもない女性は、そのアピールをすることもできず、ただ黙るだけですから。綾子は、弱いと見せかけて、最終的にはすべてを自分の思い通りにしようとするしたたかさを持っている、というのがスナイパー小林予測。

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スナイパー小林/小林久乃

文筆家、編集者、エンタメ&テレビドラマ評(コラム)からの愛酒家。出版社2社で女性ファッション雑誌、情報誌の編集部員を経て、まんまとフリーランスに。ライターの先生や地方で講演と楽しいおしゃべり仕事もしてます。静岡県浜松市出身。アラフォーで正々堂々の独身を誇る…。

@hisano_k

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