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叶姉妹が、未成年の性被害及び性行動に対してとるスタンス

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 TOKIOの山口達也が未成年である女子高校生に強制わいせつ行為をはたらいたとして書類送検されていたことが4月25日に発覚し、世間が騒然とする中、叶姉妹がInstagramに投稿したメッセージが注目を集めた。

 それは4月26日に投稿されたもので、「狩りをするライオンは子どもから狙う」と始まり、<自分と同じ歳の男の子の未熟な身勝手さよりも、あなたがまだ未成年であることに目をつぶる、大人の男性の狡猾さには、くれぐれもだまされないように。>と続く。この文章を投稿しているのは叶美香さんだが、もともとは姉・恭子さんの著書『叶恭子の知のジュエリー12カ月』(理論社)に収録されている一節だ。この機会に、同書において叶恭子さんが未成年にどのようなメッセージを送っているか、紹介したい。

 『叶恭子の知のジュエリー12カ月』は、理論社が「中学生以上すべての人」へ向けて刊行する「よりみちパン!セ」シリーズの一冊で、2008年刊行。恭子さんの格言的なメッセージと、中高生の悩みへの回答で構成されている。恭子さんの物言いは丁寧で品格があるが、しかし率直だ。子供向けの書籍だからといって、性愛やお金についても包み隠そうとはしない。

 件の格言は、「欲望」についてのレッスンの章に登場する。ライオンのくだりの一つ手前では、<彼氏にするなら同級生よりも年上、と背伸びをしたい女の子へ>、知っておくべきことを伝えているのだが、それはずばり、成人が未成年を相手に性行為をした場合、合意があろうとなかろうと多くの場合、犯罪行為である「淫行」と呼ばれるということだ。その事実から目を背けてはいけないと、女子中高生に呼びかけているのである。

 質問への回答ではさらに踏み込み、性行動に伴うリスクと責任、避妊などについても理解した上で、それでもしたいという強い意志を持つのなら<なさるのもよいでしょう><あなたが本心から望んでいなければ、彼とはまだセックスをしなくてもよい>とアドバイス。また、実際にはライオンで狩りをするのはメスだが、と前置きした上で、弱い個体は狙われるのであるから、狙われていることを「モテている」と勘違いしてはリスクにさらされると警鐘を鳴らす。このように、叶恭子さんは未成年に対して、自らの意志を尊重し自立と自律を試みることを説いている。そこに無責任な煽りは一切ない。あくまでも「あなたはどうしたいのか」を問いかけ、考えを促す姿勢なのだ。

 その姿勢は、性愛以外のテーマでも同様である。子供の悩みや不満を「大人の価値観」で一蹴せず、叶恭子さんは彼女自身の価値観で判断し、選んだ言葉を置く。例えば、ある親子間の諍いについても子供側の言い分を<きわめてまっとう>とまず肯定し、その上で<親であるからといって、誰もが完璧な存在ではない>としつつ、<ご両親の態度は理屈が通らない><あなたの不満は正しいとわたくしも感じます>と子供にエールを送る。その態度こそが、まさに誠実そのものであろう。

 『叶恭子の知のジュエリー12カ月』は中高生の悩みに寄り添うものであるが、同時に、私たちが大人としてどのような姿勢で子供に接するべきなのかを教えてくれる本でもある。いや、子供に対してだけではないかもしれない。そして対象読者も女性に限定しない。人間として誠実な姿勢とはどういうものなのか分からなくなってしまいそうな時、迷いを抱える時に繰り返し読み直したい、そんな必携の書だと思う。

ヒポポ照子

東京で働くお母さんのひとり。大きなカバを見るのが好きです。

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叶恭子の知のジュエリー12ヵ月 (よりみちパン!セ)