社会

法社会学者に聞く、TOKIO山口達也の“犯罪分析”

【この記事のキーワード】
法社会学者に聞く、TOKIO山口達也の犯罪分析の画像1

4月26日、記者会見で記者からの質問に答える山口達也。

 女子高校生に無理やりキスをするなどしたとして、強制わいせつ容疑で書類送検されたことが発覚した、ジャニーズ事務所のアイドルグループTOKIOのベース担当、山口達也(46)。2018年4月25日にNHKが第一報を報じ、翌26日には東京・紀尾井町のホテルニューオータニにて山口達也自身による謝罪会見が開かれたこの事件、5月1日には東京地方検察庁が同日付けで不起訴処分にしたことが報じられ、翌2日には山口達也本人を除くTOKIOのメンバー城島茂(47)、国分太一(43)、松岡昌宏(41)、長瀬智也(39)ら4人のよる会見が開催、TOKIO内で山口達也による“辞表”が提出されたことが明らかにされた。

 さらに4日後の5月6日、ジャニーズ事務所社長であるジャニー喜多川(86)とTOKIOリーダーの城島茂との協議の結果として、ジャニーズ事務所からの山口達也の契約解除が正式に発表されるにいたる。これは、起訴猶予で不起訴処分とはいえ、被害者である女子高校生に対する行為を山口達也本人が基本的には全面的に認めており、その点に関しては事実関係に疑義の入る余地がないことの重大性を鑑みてのことなのであろう。

 紅白歌合戦出場経験もある大人気グループのメンバー不祥事とあって、どうしても芸能側の視点から語られがちなこの事件。しかし、「強制わいせつ容疑」ということの重大性を考えてみれば、まずは犯罪としてどう見るべきかを丁寧に読み解いておくべきではなかろうか。

 そこで、法社会学者で日本における犯罪実態や警察の動向にも詳しい、桐蔭横浜大学法学部教授の河合幹雄氏に話を聞いた。専門家から見ると、この事件から言えることとはどのようなことなのだろうか?

「犯罪類型的には、“酩酊者による醜態”の典型例というのが、報道に接した際の第一印象でした。アルコール依存者ないしそれに類する者による犯罪の、よく見られる古典的なケースといってもよいと思います。山口達也氏は有名タレント。正常な判断力をもってバレないように気を使ったのだとすれば、わざわざ自分ひとりしかいない自宅に、しかも女性2人を呼ぶという時点でかなり愚かな判断なわけです。ところが、あれほどの立場がありながら彼はそうしてしまった。その点だけをとっても、まったく計画性のない行動であっただろうことは想像に難くない。女癖が悪いとか性行為目的の犯罪とかいうよりも、とにかく“酔っての醜態”という印象が突出している。私はそのように感じました。

 その後の成り行きを見る限りすでにかなり重い社会的制裁を受けていますし、被害者の女子高校生側とは和解済み、被害者側からの被害届も取り下げられるとのことですから、検察側が起訴猶予としたのはきわめて妥当な判断といえるでしょうね」

 しかし、NHKによる第一報の時点では被害者側とは和解が成立していたにもかかわらず、警視庁は4月中旬の時点ですでに書類送検していたとされる。こうした経緯に対して、昨年2017年7月の刑法改正により、強制わいせつ罪を含む性犯罪が非親告罪となった(起訴に当たって被害者による告訴が必要ではなくなった)ことが影響しているのではないかーーあるいは実際には報道による「キスをした」以上のひどい行為があったからこそ送検されたのではないかーーといった憶測もネット上では散見されるが、この点についてはどうなのだろうか?

「非親告罪化は、検察が起訴するかどうかに当たって告訴が必要とされなくなったのであって、警察が送検するかどうかにはあまり関係ありませんから、非親告罪可の影響という見方はちょっと違うでしょうね。また強制わいせつの内実は非常に幅が広く、強姦とほぼ同義の行為から、服の上から相手の身体に触れたといったものまで含まれるので、『強制わいせつ』という情報だけでは、山口達也氏が実際にどんな行為に及んだのかまではわかりません。

 それよりも、『相手が未成年であったこと』こそを、警察は重く見たのではないでしょうか。そもそも、未成年に対してキス行為におよぶというのは、強制わいせつかどうか以前に、相手の同意があろうがなかろうが青少年健全育成条例(東京都の場合は「青少年の健全な育成に関する条例」)によって一発アウトなわけです。昨今の“JKビジネス”問題などを見てもわかる通り、同条例による未成年事案を警察は非常に重く見ていますから、今回のケースでもその点を重視されて送検にまでいたったのだと考えるほうが自然ではないかと思いますね」

1 2

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

クモ(初回限定盤)(DVD付)