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日大アメフト内田前監督は反則ラフプレーに「たいしたことじゃない」との認識か。日大理事長も「関係ない」

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Thinstock/Photo by 33ft

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 日本大学アメリカンフットボール部の選手が関西学院大学との定期戦で反則タックルにより相手選手にケガを負わせた事件について、ついに523日夜、日大アメフト部の内田正人前監督と、井上奨コーチが記者会見を行った。前日522日には、当該の日大選手が弁護士同席のもと記者会見を行い、自身の反則行為を認めた上で、内田前監督や井上コーチからの反則指示があったことを証言。しかし23日夜の会見は、選手の告発に真っ向から対立するものとなった。

 22日に行われた選手の会見後、日大広報部が発表したコメントは、<コーチから「1プレー目で(相手の)QBをつぶせ」という言葉があったことは事実>だが、<これは本学フットボール部においてゲーム前によく使う言葉で、「最初のプレーから思い切って当たれ」という意味です。誤解を招いたとすれば、言葉足らずであったと心苦しく思います>、選手と監督・コーチの<コミュニケーションが不足していたことにつきまして、反省いたしております>とまとめられていた。今回の件が<誤解><言葉足らず><コミュニケーション不足>によって招かれた事態であるという認識がはっきり見て取れる内容だ。

 そして23日夜に会見を行った内田前監督と井上コーチは「私の責任」「私の未熟」としながらも、争点となっている反則行為の指示については否定。まず、今回の件は誰の指示で起きたのか、という質問に、内田前監督は「信じていただけないと思うんですが、私からの指示ではございません」と回答した。その上で、「ですが、フィールドで起こったことですので、スタートからゴール、試合が終わるまでは私の責任だと思っております。申し訳ございません」と謝罪。井上コーチは「監督から僕に『QBを怪我させてこい』というような指示はございませんでした」と明言し、自らが選手に対して『QBを潰してこい』と言ったことは「真実」と認めながらも、それはあくまでも「覚悟を決めてほしい」という意味合いだったと主張。要するに両者とも、意図的に反則行為を命じてはいない、と話したわけである。

 これは正直な説明だろうか。それとも言い訳か。受け止め方は多様かもしれないが、少なくとも、選手が「反則行為をしてでも相手選手にケガをさせなければならない」と意識するほど追い詰められていたことは確かであり、そのプレッシャーをかけたことについての説明が必要だろう。しかしその説明はないまま、質疑応答は続く。なぜ1プレー目の後宮川選手を退場させるなどの措置を取らなかったのか、という質問に、内田前監督は「言い訳になってしまうんですが、僕はその時ボールを見てしまいまして、宮川選手のところを残念ながら見てない」「気が付いた時には次のプレー、次のプレーとなっていた」「ビデオ見るまでどの程度の反則なのかというのが正直、わからなくて」「反省すべきところです」。つまり問題の反則タックルを、内田前監督はその時点では認識していなかった、との説明だ。

 しかしである。本日発売の「週刊文春」2018531日号(文藝春秋)が、56日の定期戦後に囲み取材に応じた内田前監督の発言が掲載している。囲み取材に参加した記者が録音した音声データを起こしたものだ。定期戦後の内田前監督は、反則プレーをした選手について<よくやったと思いますよ。もっといじめますけどね。だけど、そうじゃなかったら、関学みたいなチームに勝てないでしょ><法律的には良くないかもしれないけど、そうでしょ>と、語っている。法律的には良くないかもしれないプレーをさせたという認識のうえで、反則プレーをした選手を「よくやった」と褒めているのである。

 さらに反則プレーについて<僕がやっているんだからしょうがないでしょ。こういう性格だから>とし、選手たちに対して<僕、相当プレッシャーかけてるから>と明言。さらに反則をとられた悪質なタックルを<内田がやれって言った、でいいじゃないですか><あのぐらいラフプレーにならないでしょ><(あのようなラフプレーは)昔、僕ら毎試合やってたよ>と軽視している。その時点では内田前監督は、反則タックルの違法性を自覚しつつ、しかし些末な問題であると――あるいはアメフト界では日常茶飯事の攻撃だと――捉え、問題視していなかったのだろう。

 内田前監督は、会見に至ってもなお、「あのラフプレーが、なぜここまで大きな問題になっているのか」疑問に思っていたのではないか。“アメフトにケガはつきもの”“あのくらいたいしたことない”“昔はみんなやってた”“大袈裟だ”――そうした意識でいる以上、もう本件についての説明も謝罪も期待できない。24日、スポーツ庁の鈴木大地長官は「我々がリーダーシップを取って、きっちり真実を解明する」と、国として調査に乗り出す方針を示した。まずは同夕方に日大関係者を同庁へ呼び、関学大からの抗議文への回答書の内容をヒアリングしたうえで、内田前監督や選手らにも話をきくことを検討しているという。「文春」では、日大の田中英寿理事長が取材を受けても<俺、知らないもん、全然><関係ないよ>と知らず存ぜずを押し通し、何の見解も示さなかったことも伝えられている。理事長もまた、一連の騒動を「些末な問題」としか認識できていないとしたら、日大は末期状態だ。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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