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加計学園問題渦中にある柳瀬唯夫・元首相秘書官って、いったい何者なんですか?

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2018年5月10日、国会の予算委員会で参考人招致され質問に答える柳瀬唯夫・経済産業審議官。(写真:AFP/アフロ)

 永田町、霞が関で大炎上を続けている、学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題。5月10日には衆参両院の予算委員会で柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致が行われ、その場で柳瀬氏は、加計学園関係者と首相官邸で3回面会したと認めはしたが、その後も新事実が浮上し続けており、加計問題は収束の気配を見せていない。そして、新事実や新証言が浮上するたびに、現在は経済産業省ナンバーツーである「経済産業審議官」を務める柳瀬氏が、東京・霞が関の経産省内の自室の前で、「そんな覚えはない」などと記者団に弁明を続けるーー。そうした姿が、もはやおなじみの光景となりつつある。

 では、騒動の渦中にある、2018年5月現在57歳のこの柳瀬唯夫氏、はたしてどんな人物なのだろうか? 経産省と縁が深く、柳瀬氏をよく知るエネルギー業界関係者に、その人柄を聞いてみた。

「テレビでは無表情に映ってますが、柳瀬さんはとても腰の低いよい人。我々のような出入り業者に対しても、余裕があればアポなしでも自室に招き入れて『最近はどうですか?』などと気さくに情報交換に応じてくれる。今回の騒動が起きて以降はさすがに気楽に部屋を訪ねることはできませんが(苦笑)。偉ぶるところはなく、若手の時から、ポジティブな印象は変わりませんね」(エネルギー業界関係者)

 経産省の記者クラブ「経済産業記者会」に詰める記者にも聞いてみたが、「柳瀬氏はそつなく仕事をこなすタイプで、経産官僚にありがちな鼻っ柱の強いタイプではない。そういう人柄もあって、経産官僚の先輩であり、現在、政務担当首相秘書官(通称・首席首相秘書官)を務める今井尚哉氏に『柳瀬は使いやすい』と目をつけられた。それで、第2次安倍晋三内閣発足後、異例の首相秘書官の“2回目登板”に引っ張られたというのが、経産省内ではもっぱらですね」という声が聞かれた。

 柳瀬氏の一件で耳にすることが多くなったこの「首相秘書官」だが、実際にはどのようなポストなのか? 霞が関の人事に詳しい全国紙経済部のベテラン記者は、「ひと言でいえば“出世の登竜門”」だと指摘する。

「各省庁にはそれぞれ、将来有望な優秀な若手・中堅官僚を充てる“出世ポスト”が存在します。特に『首相秘書官』や各省庁の『大臣秘書官』はその代表的なポストで、40代でこれらの秘書官ポストを務められたかどうかが、その後の出世を左右する。柳瀬氏の出身母体で現勤務先の経産省でも、現在、事務次官を務める嶋田隆氏は、故・与謝野馨氏(元官房長官)が大臣に就任するたび、同氏の秘書官を務めたことで知られています。また“官庁の中の官庁”たる財務省でも、“アベ友”などと揶揄されることも多い田中一穂・元事務次官が第1次安倍内閣で首相秘書官を務めるなど、歴代財務事務次官はたいてい総理大臣秘書官などを務めている。首相や大臣を務める有力政治家にぴったりと寄り添うことで、政治家との“間合い”の詰め方を学ぶことができ、結果としてその官僚が所属する官庁の通したい法案を通し、実施したい政策を実現することにつながる。それこそが、中央省庁の官僚として最も重要とされている能力なわけで、だからこそ秘書官経験者が出世することになるわけです」(全国紙経済部ベテラン記者)

 そう、首相秘書官はまさに、出世の登竜門なのだ。この記者は、「基本的には『東大法学部卒→入省後に海外留学→海外勤務→秘書官』という階段を上った官僚は、順調にいけば事務次官、そこまでは無理でも局長などのポストは務めることになる」とも指摘した。

 実際、柳瀬氏の経歴も立派そのもの。以下にその主要なものを挙げよう。

1984年 東京大学法学部卒業、通商産業省入省
1991年 米イェール大学大学院留学
1999年 JETROニューヨーク産業調査員
2004年 資源エネルギー庁原子力政策課長
2008年 首相秘書官(麻生太郎内閣)
2009年 経済産業政策局産業再生課長
2010年 大臣官房総務課長
2011年 経済産業政策局審議官
2012年 首相秘書官(第2次安倍内閣)
2015年 経済産業政策局長
2017年 経済産業審議官(現職)

 こうして列挙してみれば、まさしく「東大法卒→海外留学・勤務→秘書官」という王道の出世階段を駆け上がってきたことがよくわかろう。

 しかし、官僚なら誰もがうらやむ秘書官ポストだが、実際の勤務そのものは非常に厳しいようだ。

「文字通り朝から晩まで首相や大臣に付き従っている“かばん持ち”の仕事で、秘書官を務めている間はプライベートな時間はほぼ皆無という激務。2~3年の秘書官職務が終わった後には、『大臣官房付』など実際にはほとんどやることがない肩書きが付いて一定のリフレッシュ期間が与えられるが、代わりに秘書官の間はいかなる理不尽な目に遭っても耐えなければならない、本当に大変な仕事ですよ」(前出の全国紙経済部ベテラン記者)

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