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いまなぜ「レズ風俗」が注目されているのか? 女性の性の悩みと、女性同士の性

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 しかしそれを「好き」といっていいのか、いまでもわかりません。女性同士は男性同士に比べて距離が近く、同性のことを気に入ってもあまり違和感がないからこそ、「ここからが恋愛感情だ」という線をどこに引いていいのかわからないのです。「女性同士は気安い」というイメージが一般的にあり、私自身も「自分が女性だから、女性に警戒されず接することができて得している」と思っています。しかし自分にとっては男女どちらも、「同性」というより「異性」という感覚があるのです。

 男性に好かれたり好きになって交際したり、性的な関係を持つことはこれまでにあり、そこに違和感も不満もまったくなかったので、あえて考えてきませんでした。私が素敵だと思う女性が私のことを好きになるわけがないと思っていたし、それ以上近づこうとしたことはあまりありませんでした。また「抑えられないほど好きでなければ好きではないのでは」とも思っていました。これまで「女性に対しての感情を掘り下げたり育てたりしなかっただけ」「好きだったけれど告白をしたことがなかっただけ」なのかもしれない、ともよく考えます。

 それと同時に、私は女性の身体に触るのがこわいのです。拒絶される可能性も高いし、傷つけてしまうかもしれない。たとえ女性とおつき合いすることになったとしても、いざとなって恋人のような接触や性的なことができなかったら、それでまた相手を傷つけるでしょう。

セックスはスキンシップの延長

 セクシャリティの悩みとレズ風俗は、親和性が高いのではないでしょうか。そうでなくても、人にはぬくもりや性的な関わりが欲しいときがあります。

 私はストレスを抱えやすいせいか、「スキンシップ中毒」気味です。安心できる人に触れているときはストレスが溶ける感覚があり、できるかぎりハグしたりすり寄ったりします。でも人に触れられるハードルは高く、ごく一部の安心できる人に限られます。

 性的な関わりにはいろいろな価値観がありますが、私は「セックス=そういうスキンシップの延長」と捉えていて、かつ恋愛感情と性的なことに対する結びつきが強いタイプです。だから、恋愛感情がある人以外とセックスしたいとはあまり思いません。たとえすごくさみしかったとしても、またたとえお金を払うという前提があったとしても、相手が男性だと「触れられるのはこわい」と思ってブレーキがかかってしまいます。しかしそれが女性だったら、少しハードルが下がる感覚があるのです。

 性的指向に関しては、ほとんどが私の持つ偏見によるものです。「性的なことができるかどうか」と「恋愛感情」は別問題のはずですし、この葛藤は異性間でも起きえます。私の場合はむしろ女性を神聖化している男性と似ていて、男性の友人に「童貞メンタル」と共感されたりします。

レズ風俗キャスト女性との出会い

 また男性に比べ、女性が性的な欲求を満たすことや性的な物事に関心を示すことへのハードルが高いこともあります。「女性だったらこわくない、ハードルが下がる」は裏を返せば「男性と性的に関わるのがこわい」と感じる状況があり、女性が性に触れにくいことにつながっています。

 いずれもレズ風俗に行けば解決する話ではないはずです。しかし、レズ風俗の話題に触れたことで、こういうことを感じている人は私以外にも多いのでは? と考えるようになりました。

 今年2月、性に関する活動を一緒にしている、きのコさんの紹介で「女性のセックスとレズ風俗を語る会」に行ってきました。主催は都内にあるレズ風俗店でキャストとして働き、その後「対話型レズ風俗Relieve ~リリーヴ~」をオープンし、店長をつとめる橘みつさんでした。美人で話が上手で、とてもハッキリとした話し方の、頭のよい女性という印象でした。

 彼女がレズ風俗キャストという仕事にたどりついた経緯を聞き、そこにさまざまな生きづらさがあると感じました。レズ風俗のキャスト=レズビアンというイメージがありますが、みつさんはそうではありませんでした。それではなぜレズ風俗で働くこと決めたのでしょうか。

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卜沢彩子

1987年生まれ。子どもの頃からの度重なる性被害経験を、2009年から実名・顔出しでサバイバーとして発信。個人やNPOで支援・啓蒙活動をつづけている。2016年に複雑化した社会問題を解決するためにA-live connectを開業。恋愛・性をはじめとした人間関係やコミュニケーションに関する相談や講演活動、記事執筆、SEX and the LIVE!!プロジェクトの運営など場作りを行っている。英才教育を受けたオタク。和柄とねこが好き。

twitter:@ayakourasawa

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