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小林麻央さん闘病で取り沙汰された「代替療法」 悪質性の見極めとケアについて

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Thinstock/Photo by Siraphol

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 小林麻央さん(享年34)が乳がんで亡くなってから、間もなく1年が経つ。610日に市川海老蔵(40)は、故人を偲ぶ「一年祭」を営んだことをブログにて報告した。麻央さんの闘病を巡っては、病気が公表されて(というか半ば強引に暴かれて)からというもの、毎週のように様々な報道があった。特に、乳がんと診断されてから病巣の摘出手術を拒み、代替療法に縋ったという旨の報道は非常に多く、逝去直後もそうした週刊誌記事はあった。

 がんの代替療法については様々な問題をはらんでいる。65日放送の『クローズアップ現代プラス』(NHK)は、保険適用外のがん治療にまつわるトラブルについて取り上げ、反響を呼んだ。

 がん治療の中でも、手術や抗がん剤や放射線など「標準治療」と呼ばれているものは、国や学会で有効性、安全性が認められ、エビデンス(=科学的根拠)があり現時点で最良とされている治療で、費用は保険適用となる。

 他方、「標準治療」以外の施術や療法は、「補完代替え療法」と呼ばれており、免疫療法、遺伝子治療、漢方薬、健康食品、鍼灸治療、栄養療法、運動療法、音楽療法などさまざまな方法が存在している。いずれも現段階で有効性と安全性は認められておらず、保険適用もされないため、費用は全額患者側の自己負担となる。

 近年は治療法の研究が進み、免疫療法の一部が「標準治療」となるなどの変化もあるが、その一方で、ネット上では、「標準治療」ではないがん治療の情報が溢れ返り、錯そうしている。大げさな広告表現が用いられ、高額な費用もかかるケースも少なくなく、トラブルが増えているという。

 番組には52歳の夫をがんで亡くした女性が登場。女性は、医師から夫の余命半年を告げられた当時、インターネットで他に有効な治療法がないかを探り、中学生だった息子が見つけた“がん遺伝子治療”を掲げるクリニックを訪れた。クリニックでは、「本当によくたどり着きました、もう助かりますよ」という言葉を掛けられ、がん抑制遺伝子を点滴で投与する治療法を説明された。費用は約550万。クリニックの医師からは標準治療の中止も勧められ、女性はこの治療に懸けたが、余命半年を待たずに夫は亡くなった。

 夫が亡くなる前、がんの進行が止まらず疑念を抱いた家族に、クリニックの医師は「人に投与できる用の遺伝子治療として、国が初めて認めたのがここ。日本で第1号です」などと言っていたが、実際にそういった事実はなく、虚偽の説明だったという。

 最終的に、女性はクリニックを提訴。クリニック側は医師の説明に「不適切なものがあった」と認めたが、番組の取材には「初めから言ってますから。我々は最新医療だからエビデンスはないですよ、と。『必ず治ります』なんて、ひと言も言わないです」と語り、ならばなぜ裁判で不適切性を認めたのか問われると「(裁判が)長引くほど、彼らは材料にして我々の悪宣伝を流しまくるので」「そういう人にはお金を払えばいいことなんで」など誠意を感じる説明はしなかった。こういったトラブルが相次ぐ事態を受け、今年61日より医療法を改正。医療機関がネット上に掲載する内容を「広告」と見なし、規制をかけた。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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