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小林麻央さん闘病で取り沙汰された「代替療法」 悪質性の見極めとケアについて

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 番組にゲスト出演した大阪大学大学院の大野智准教授によると、「有効性が十分には確かめられていない治療を多額の費用で行う」こと自体は、「医師の裁量権として認められて」おり「違法ではない」という。だが、上述のクリニックのように「標準治療などの正確な情報の説明が十分に行われていないケース、そういった説明が不十分なケース」は罪に問われることもある。

 「遺伝子治療」「樹状細胞ワクチン」「NK細胞」……近年がん治療について耳慣れない用語が“最先端治療”であるとしてネットや雑誌に飛び交っているが、大野准教授は「遺伝子治療で標準治療とされているものはありません」「免疫療法では、『オプジーボ』で知られる『免疫チェックポイント阻害剤』など標準治療として推奨されているものもありますが、それ以外、例えば『樹状細胞ワクチン』や『NK細胞』を使った治療法は、十分に有効性が確認されていません」と断言した。

 大野准教授は治療法選択の目安として、(1)エビデンス(科学的根拠)が十分にあるかどうか(国立がん研究センターのページでエビデンスの有無を確認する。なければ少し怪しい)、(2)費用が高額過ぎないか(高額な場合は少し疑ったほうがいい)、そして重要ポイントとして(3)標準治療を否定していないか(否定している場合、かなり危険なケースがあるのではないか)を挙げた。

 しかし、自身や家族が深刻な病気を告知された際、そうした冷静な判断をとれる人は実は多くはないのかもしれない。医療分野の情報が難解ゆえ専門医の説明を理解することも難しかったり、医療者にそんざいに扱われたなどの経験から医療不信に陥っている患者や家族もいるだろう。代替療法はそこにつけいる。また、エビデンスがないにもかかわらず、信仰に近い形で代替療法を普及させようとする“善意”の人もいるかもしれない。

 残酷かもしれないが、万人の病気を確実に治す奇跡のような治療方法はない。代替療法が患者や家族の不安を和らげる機能を持つこともある。標準治療を否定せず、代替療法によるケアと組み合わせて闘病することを推奨する民間クリニックも存在する。だからすべての代替療法やそれに縋る患者を頭ごなしに否定するのは乱暴になってしまう。「こうすればOK」という正解はないからこそ、医療と代替療法の連携、また、医療者と患者・家族とのコミュニケーションにより、各々にあったやり方で病気と向き合わなければならないのだろう。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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