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目黒女児虐待死事件を受け、小池百合子東京都知事「人員や予算を優先的に措置」

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Thinstock/Photo by DmitriMaruta

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 東京都目黒区で5歳女児が虐待死した悲惨な事件は、大変な注目を集めた。両親から十分な食事を与えられず栄養失調状態になり、病院にも連れて行ってもらえなかった女児は、今年3月、肺炎による敗血症で死亡したとされている。朝日新聞によると、死亡時、女児の体重は同年代平均を大きく下回る12キロ程度、また、司法解剖の結果から胸腺の重さは同年代の約5分の1程度だったという。

 201612月から今年2月にかけて、児童相談所は何度かこの家庭に介入していた。当時住んでいた香川県の児童相談所によって女児は幾度か一時保護され、女児の母親の船戸優里容疑者の再婚相手にあたる船戸雄大容疑者は香川県警に2度書類送検されている(いずれも不起訴処分)。今年1月に東京都目黒区に引っ越した際には、香川県の児童相談所から品川児童相談所への引継ぎも行われたが、優里容疑者が児相職員と女児の面会を拒み、女児は32日に亡くなった。

 両親は5歳児に対して日常的な暴行、モデル体型維持やひらがな練習の強要をし、冬に暖房の切れた部屋に放置するなどしていたという。女児は目覚まし時計をセットし朝4時に起きてひらがなを練習していたといい、女児の部屋からは大人の字で「いきがきれるまでうんどうする」「べんきょうする」など約20項目の生活ルールが書かれた紙も見つかっている。両親への「ゆるして おねがい」という手紙も大々的に報道された。事件の凄惨さは様々なメディアによって報じられ、女児に虐待を加えた両親はもとより、女児を救えなかった児童相談所への批判の声も強い。

 この事件を契機に、かねてより指摘されてきた児童相談所の人手不足の解消、児童相談所と警察機関との連携強化、虐待を行う保護者の親権の停止、保護された子供たちを育てる里親や養子縁組の充足などを求める論調は強まっている。児童相談所と警察機関との連携強化および情報共有システムの確立を求める声はとりわけ大きい。

 共同通信の調査によると、<児童虐待が疑われる事案への対応を巡り、児童相談所(児相)を設置する全国の69自治体のうち32自治体は、どの事案を警察に情報提供するかの具体的な基準を設けていない>。東京都では2016年に警視庁と協定を結んでおり、<児相は『身体的な虐待で一時保護し、その後家庭復帰した事案』と『児相所長が必要と判断した事案』を警察に情報提供>するという基準が設けられているが、今回の目黒区の事件では<警視庁への情報提供に至らないうちに>女児は死亡してしまった。

 なお、愛知県(政令指定都市の名古屋市を除く)では今年4月から、茨城県では今年1月から、児童相談所が把握した虐待案件について保護者と子供の氏名などを幅広く警察に提供し、情報共有する取り組みをスタートしている。また高知県では2008年より県警との情報共有を行っているという。

 小池百合子東京都知事は68日の定例会見冒頭で、児童相談体制のさらなる強化を図りたい意向を表明。<関係局に児童福祉司、児童心理司、そして保護所の職員の増員>による児童相談所体制の強化、<夜間、休日の相談体制など、24時間365日子供を見守る体制>の強化、<法的対応力>の強化、<地域でのネットワーク>の強化を、早急に検討し、人員や予算を優先的に措置するとの考えだ。

 東京都ではこの3年間で<警察との連携や法的対応力の充実を図ってきたところ>であり、児童福祉司、児童心理司らの専門職の配置を増やし、現役警察官・警察官OB、非常勤の弁護士・協力弁護士の配置を進めてきたが、今回の目黒の事件を受け、改めて警察との連携や情報共有の協定内容の見直しを進めていきたいとのことだ。迅速な決定と対応が望まれる。

 611日には、埼玉県の上田清司知事が定例会見で、<児相が把握した虐待が疑われる全ての事案で県警と情報共有する方針>を示している。現在県警との調整中だが「本年度中にもできると思う」とのことだ。

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児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか (朝日新書)