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小川彩佳、夏目三久ら女性アナウンサーの勇気あるセクハラ告発が社会全体を変えていく

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『報道ステーション』(テレビ朝日)番組ホームページより

 先日、Wezzyでも取り上げた、「週刊ポスト」(小学館)2018622日号が報じたテレビ朝日のセクハラ問題。社会問題となった福田淳一前財務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクハラ問題を受け、テレビ朝日が社員を対象に「ハラスメントに関するアンケート」という無記名アンケートを行ったのだが、その調査で明るみになったのは、「社外」との関係で起きたセクハラもさることながら、「社内」の関係で発生したセクハラ被害だった。女性回答者126人のうち、社外関係者からセクハラを受けたと回答したのは43人で34%だった一方、社内関係者からセクハラを受けたと答えたのは71人で56%にも及んだという結果が出たのだ。

 そういった流れの最前線に立たされるのは、やはり、局の顔である女性アナウンサーだろう。前述した「週刊ポスト」の記事では、419日放送『報道ステーション』でセクハラ問題のニュースを報じた後、小川彩佳アナウンサーがすぐには次の話題に行かずしばらく憮然とした表情で押し黙り、深いため息をついてから次のニュースを紹介した一幕を取り上げている。

 このような行動に出た背景には、セクハラ被害に遭った社員の訴えに向き合わなかった会社への怒りがあるのだろうが、実は、同月27日放送『報道ステーション』での小川アナは、セクハラ問題に対しより直接的な言及をしている。この日の放送では、被害に遭った女性社員からの<ハラスメント被害が繰り返されたり、被害を訴えることに高い壁がある社会ではあってほしくないと思います。すべての人の尊厳が守られ、働きやすい社会になることを祈っています>というコメントを代読した後、小川アナも自らの言葉でカメラに向かってこのように語りかけた。

<私も今回の問題を受けて、まわりの女性、男性、色々な人と話をしましたが、想像以上に、その高い壁を感じている人が多いということを知りました。今回の女性社員の訴えからのこの流れを、決して一過性のものにするのではなく、本当の意味で体制や意識が大きく変わる転換点にしていかなければならないと、そして、なっていってほしいと、いち女性としても、テレビ朝日の社員としても、強い思いを込めてこれからもお伝えして参ります>

 元TBSアナウンサーの小島慶子は、「週刊プレイボーイ」(集英社)2018528日号掲載の連載コラムのなかで、小川アナのこの発言を<番組の意思決定権を持つのはたいてい年次が上の男性たちです。女子アナはニコニコしていればいいんだとかいう人もいる中で、一人称で自分の思いを伝えるのはとても勇気のいることなのです>と称賛していたが、小川アナのような強い姿勢がメディアを通じて広く伝えられていくことは、社会を変える大きなきっかけになるのかもしれない。

 小島慶子は、ウェブサイト「ウートピ」のインタビュー(614日付)で、小川アナのように自らの意見を積極的に表明するアナウンサーが増えることは、社会を変える大きな一助になり得ると語っている。

<最も従順で保守的な女子だと思われているアナウンサーがそれをやるようになったら、いまどきは女性が意見を言うことも普通なんだな、といい加減気がつくでしょう。メディアは文化をつくる、と言われます。私は日本のジェンダー観を変えるには、テレビの中の女性像を変えることが大事だと思っています>

 セクハラ容認社会への批判を自らの言葉で訴えかけるアナウンサーは小川アナだけではない。

 たとえば、元日本テレビアナウンサーで現在はフリーで活動する夏目三久アナは、425日放送『あさチャン!』(TBS)で、<かつて、取材相手からセクハラとも取れる言葉を受けたことはたびたびありました。その人については、取材する側も皆がもうそういう人なんだなぁと諦めて、私自身も声を上げるということが、イコール、“仕事が出来ない”“心が弱いヤツ”だと思われるのが怖くて、その時は皆が黙認しているという空気ができあがっていたんですね>と、セクハラ被害に遭っていたうえ、社内の「空気」からその被害を我慢していたことがあると告白した。そのうえで夏目アナは、<今回の報道をきっかけに思ったのは、この黙認こそが、セクハラをはびこらせている一番の大きな要因になっているのではないかと思いました。ですので、女性男性ともに、一人一人がセクハラ問題を考えて、根本から意識を変える、そういう時代にきているのかなと強く思いました>と提言している。

 先ほど引用した文で小島慶子が述べていた通り、彼女たちアナウンサーの行動が社会に前向きな影響を与えるのは間違いない。本稿冒頭で紹介した「週刊ポスト」の記事が示すように、メディア内部でもセクハラへの対策が十全に行われているとは言い難いが、各メディアが会社としても彼女たちの動きをバックアップする組織であってほしいものである。

(倉野尾 実)

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