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麻生太郎財務相「セクハラ罪発言は、捻じ曲げられた」という見解のナゼ

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wikipediaより

 今月20日、通常国会の32日間の会期延長が決まった。今日25日から延長国会が始まり、今まさに参議院予算委員会で集中審議が開かれている最中だ。森友学園・加計学園をめぐる問題への追及が行われている中、国民民主党の伊藤孝恵議員が、福田純一元財務事務次官のセクハラ問題に関する麻生太郎財務相の発言について質問を行った。

 「事実確認です」と断りを入れた上で、「セクハラ罪という罪はない、といったのは事実か」と問う伊藤議員に対し、麻生大臣は「法律的にはないから申し上げた。事実だ」と返答。さらに、「捻じ曲げられて伝えられた」「ふざけた記事の作り方だと思った」と答えた。「セクハラ罪という罪はない」の発言について麻生大臣は514日に「誤解を与えたのであれば発言の仕方を考えなければいけない」と述べていた。

 「セクハラ罪という罪はない」という発言は、54日に訪問先のフィリピンでの麻生大臣の記者会見の場で初めておこなわれた。麻生大臣はその後も繰り返し「セクハラ罪という罪はない」と発言。「セクハラを軽視する発言ではないか」という批判を受けても「法律的には存在しない」ことを主張し続けていた。

 しかし514日、同じく繰り返していた「(福田前事務次官が女性記者に)はめられた可能性もある」という発言について、初めて女性記者に謝罪の言葉を述べ、さらに「セクハラ罪という罪はない」についても、「誤解を与えたのであれば発言の仕方を考えなければいけない」と釈明。あくまで釈明であって、謝罪ではないことを批判する声も多々あがっていた。

 その4日後、立憲民主党・逢坂誠二議員の質問主意書に対し、政府は「現行法令において、『セクハラ罪』という罪は存在しない」という答弁書を閣議決定する。この答弁書でも、セクハラ行為が強制わいせつなどの罪にあたることはあっても、セクハラ罪という罪はないことが強調されていた。

 つまり伊藤議員の質問に対する麻生大臣の返答は、従来の見解を再び述べただけに過ぎない。しかし、気になるのは「捻じ曲げられて伝えられた」「ふざけた記事の作り方だと思った」という発言だ。

 麻生大臣は答弁の中で、「『セクハラ、罪はない』、『セクハラ・罪』はないと書かれた」と回答していたが、一部の記事で麻生大臣が発言したような見出しが使われていたとしても、多くの記事の見出しは「セクハラ罪という罪はない」と発言そのものを使用していた。またもとより、麻生大臣への批判は、「セクハラ罪という罪の有無」ではなく、一連の騒動の中で、「セクハラという加害行為への軽視の現れではないか」というものだったはずだ。だからこそ、麻生大臣は「誤解を与えたのであれば発言の仕方を考えなければいけない」と釈明を行ったのではないだろうか。

 今月12日、政府は、各省庁の幹部職員に対する研修の義務化などを定めた「セクハラ緊急対策」をまとめた(女性記者の排除に繋がる懸念がある、政府の「セクハラ緊急対策」)。この緊急対策については、実効性の乏しさや、女性記者が取材現場から排除される可能性も指摘されている。集中審議での、いまだにセクハラが軽視されている現状への危機感よりも「セクハラ罪という罪の有無」に執着するような麻生大臣の回答は、改めて不信感を強めるものだったことは間違いない。

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