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羽生結弦選手が国民栄誉賞の授賞式で強調した「皆様」という言葉

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2018年7月2日、国民栄誉賞 表彰式での羽生結弦氏
写真:代表撮影/ロイター/アフロ

 2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪のフィギュアスケート男子で金メダルを獲得した羽生結弦選手(23)に、72日、国民栄誉賞が贈られた。スケート選手の受賞は初のことであり、また個人受賞としては史上最年少である。首相官邸で行われた表彰式に、紋付き袴姿で出席した羽生選手は、安倍晋三首相より表彰状と盾を受け取った。国民栄誉賞受賞者には、表彰状および盾、記念品もしくは金一封が贈られると規定されているが、今回、羽生選手は記念品を辞退している。

 表彰式後、羽生選手は報道陣の取材に応じた。10代の頃からメディアの取材に丁寧に応じることで知られている羽生選手だが、その姿勢は健在で、ひとつひとつの質問に律儀に丁寧に答える姿からは羽生選手の真面目な性格がうかがえる。

 記念品を辞退したことについて羽生選手は「自分の中で皆様を代表してって気持ちがすごくあり、皆様とだからこそ取れた賞という気持ちがすごくあったので、僕個人の気持ちだとかはあまり出したくないな、と。そういう意味でも記念品は辞退させて頂きました」と説明。今後の目標については、「競技会に向けてしっかりとまずは準備していくことが大事」「怪我の具合も少しずつ良くなってきて、できるジャンプ、技も増えてきている」として、自身の身体と相談しながら競技会への準備を進めたい意向であるという。

 羽生選手はその回復についてもまた、国民栄誉賞の受賞と同じく、自分ひとりの努力や実力によるものだとは捉えていないだろう。どこまでも「皆様」という言葉を用い、慎重に言葉を選んで表現している。

<自分の気持ちの中では、ここまで応援してくださった方々も含めて、皆さんの思いがこの背中を押してくださったというふうに思いますし、最年少っていうよりは、皆さんがそばにいてくれて、ここで自分が受け取ることができたのかなって感じております>

日本人として誇りを持って、これから日本だけじゃなく海外にも目を向けて、僕はスケーターとして滑っていきたいと思っていますし、海外の方から見ても素晴らしい賞であるからこそ、せっかく頂けた賞の名を背負って、いろんな活動のきっかけとなるような機会になればと思っています>

<スケーターとして、人間として、このように素晴らしい賞を頂けるということは『普通ではいけないんだな』っていう風に、自分の中ではちょっとけじめをつけています。だからこそ、これからも私生活含めて、常にいろんなことに気を遣って、ひとりの人間として後ろ指さされないような生き方をしていきたいと思っています>

<五輪二連覇だったり、そういった皆様の評価というか、そういった結果をいただけたからこそできることって絶対あると思うので、僕にしかできないこと、僕しか感じてこれなかったこと、僕しか学べなかったこと、伝えていけるような存在になりたいと思っています>

<国民栄誉賞を頂けるということを聞いた時に、やはり自分は、自分の報道とか結果とかスケートとか、そういうものを通して皆様の力が皆様に還元されているんだなって思えたので。今回の明るいニュースが、皆様にとって明るい光になって頂けていたら嬉しいと思いましたし、やっぱりそういう存在にこれからもならなければいけないなって改めて思いました。だからこそ、言葉で表すのはすごく難しいんですけど、ひとりの人間としてだけじゃなく、ひとつ存在として、羽生結弦という存在として、皆様の力が僕に注がれていて、その力が皆様にまた巡っていって、ということになるためには、やはりその期待に応えなくてはいけない。そして、その期待に応えられるだけの努力、技術、芸術を持っていなければいけないと強く思っているので、これからもさらに身を引き締めて頑張っていきたいと思っています>

 羽生選手の語る一言、一言は、どこまでも謙虚だ。かつ、俯瞰的でもある。羽生結弦という存在を誰よりも冷静に客観視しているのは、他ならぬ羽生結弦自身なのではないだろうか。

 実績や栄光は、チーム羽生スタッフや関係者、家族のサポート、ファンの応援があったからこそ成し遂げたものであると繰り返す羽生選手は、自分自身の背負うものの重さを強く認識している。弱冠23歳にして、その自覚を持ち、重圧に耐える強さも兼ね備えている羽生選手は、やはりトップアスリートなのだろう。また、だからこそ周囲が彼をサポートし、ファンも応援し続けようという好循環につながる。

 今年2月、一時は右足首の負傷で出場が危ぶまれていた平昌五輪で金メダル獲得した羽生選手は、帰国後安静・リハビリに入り、3月開催の世界選手権出場は断念していたが、経過は良好のようで、4月には自身プロデュースのアイスショー「Continueswith Wings~」ではジャンプなしの演技を披露し、525日~71日に5会場で開催された「ファンタジーオンアイス2018」や6月に開催された「ヒーロー&フューチャーズ2018イン長野」では3回転や4回転のジャンプも披露していた。今後は競技会に向けて本格的に練習を再開する予定のようだ。

 男子フィギュア界では、高橋大輔氏が32歳にして選手として競技復帰することを発表している。次のシーズンも楽しみに待ちたい。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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