サイクロン掃除機とふとん専用ダニ掃除機、セットで1万円!
そんな夢グループは近年、通販事業のほうでも思わぬ形で注目度がアップしている。同グループは既存メーカーの商品ではなく、あくまで自社オリジナル商品を大胆な安価で販売するとうスタイルを貫いているのだが、その自社展開する商品とそれをプロモーションするCMのインパクトがあまりに大きすぎると、一部で面白がられているのだ。
話題商品のひとつが、小さな文字が大きく見えるメガネ型拡大鏡、その名も「夢メガネ型拡大鏡」だ。CMで渡辺謙と菊川怜がメイド・イン・ジャパンを強調する「ハズキルーペ」は1万円強となかなか高価だが、こちらは日本製ではないかもしれないが、驚くなかれ2つで2980円!(税抜)
「ダイソン」のサイクロン式掃除機(キャニスター型)は、ローエンドモデルでも4万円はする高級品。また、大ヒットした「レイコップ」のふとんクリーナーは最低でも2万円程度と、決して安くない。しかし、それらになんとなく似ている夢グループの「サイクロン掃除機」と「ふとん専用ダニ掃除機」は、セットでなんと1万円!(税抜)
「温感2枚重ね毛布」も気になる一品。これは、もともとシングルを1枚990円(税抜)で売っていた「温感ポカポカ毛布」を2枚重ねに大幅バージョンアップさせた商品。それでいて、変わらず990円(税抜)というから驚きだ(しかも、1枚タイプも990円のままで継続販売中)。要はこんな具合に、あまりに安すぎる上、どこか大ざっぱで、かえって心配になる商品ばかりなのだ。
ジャパネットたかた・高田社長ばりの人気キャラとなる可能性も
こうした驚愕プライス商品を紹介すべく同社CMで奮闘するのは、主に石田社長ご本人。彼にあっては、その独特なキャラが面白さの大きな要因となっている。
通販CMに出演する社長といえば過去にも、甲高い声で人気を博した「ジャパネットたかた」の高田明社長(すでに退任)、「いちまんきゅうせんはっぴゃくえ~ん」と申し訳なさそうに価格を発表する「トーカ堂」の北義則社長など、名物キャラを何人か生んでいる。通販ではないが、いつまでたってもセリフが棒読みの「リーブ21」岡村勝正社長も見逃せない。
夢グループCMの放送はBSが中心だけに、まだ知る人ぞ知る状態ではある。しかしながら、石田社長は、こうしたユニーク経営者たちに引けを取らない、十分にキャラ立ちした人物だといっていい。
何より印象強いのは、「みなさぁ~あん」「ご紹介いたしまぁ~~す」「ごめんなさぁ~~~い」といったオリジナリティあふれる独特のイントネーションだ。また、お世辞にも滑舌がいいとはいえず、セリフを言い間違えそうになったり、ツマったりすることもある。しかし、なぜかその“NG場面”をそのまま採用して放送。そのガチンコな姿勢が、CMの味わい深さを増幅させているのだ。その映像の低予算感、商品のB級感も相まって、夢グループの通販CMは結果として、何度見ても飽きない立派な動画コンテンツへと、図らずも昇華し得ているのである。
なかには、「うさんくさい」「怪しい」などといった野暮なツッコミを入れる向きもないではない。しかし、そこが逆にハマる要素なのだというファンも少なくなく、ここ数年は「夢グループのCMがクセになる」「CMを見るのが楽しみになっている」「夢中で見てしまう」「石田社長が気になる今日この頃」といった発言が、SNSで散見されるようにもなったのである。
というわけで、なんらかのきっかけさえがあればネットでバズる可能性も大。石田社長が地上波のバラエティ番組に出演すれば、面白キャラとしてブレイクもあり得るのではなかろうか。かように夢グループは今、いろいろな意味で注目すべき存在なのである。
なお、夢グループの通販CMは、BS民放局を見ていれば高確率で遭遇可能。一方、夢グループのYouTubeアカウントも存在するが、CMはわずか数本しかアップされておらず、ファンにはいかんせん物足りない。公式サイトも同様に、どこか素っ気ないのであった。
(文/ミゾロギ・ダイスケ)
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