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登坂淳一アナへの復帰対応で浮き彫りになったテレビ業界のセクハラへの意識の低さ

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フジテレビ公式サイトより(登坂アナは写真中央)

 今年125日発売「週刊文春」(文藝春秋)でのセクハラ報道により、『プライムニュース』(フジテレビ)を降板するなどしていた元NHKアナウンサーの登坂淳一氏。スキャンダルが報じられてから十分な時間が経ったとは言い難いが、67日放送の『プレバト!!』(TBS)では民放初ゴールデン出演を果たし、624日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)にも出演するなど、本格的なテレビ復帰が進んでいる。

 登坂アナは111日付でNHKを退職し、現在はホリプロに所属。4月からの新番組『プライムニュース』のメインキャスターに抜擢され、順風満帆なフリー生活のスタートを切るかに思われたが、前述した「週刊文春」201821日号の報道で、NHK時代の悪質なセクハラが明るみとなり、『プライムニュース』を降板することとなった。

  事件が起こったのは、20116月のことだったという。当時、登坂アナは北海道放送局に勤務しており、夕方のニュース番組『ネットワークニュース北海道』などを担当していた。「週刊文春」報道によれば、取材後の打ち上げの二次会の席で問題は発生した。その飲食店のトイレ前の廊下で、当時20代だった契約キャスターの女性に対し、数回にわたりキスを迫った挙げ句、ブラウスに手を入れて胸をまさぐり、さらに、スカートをまくりあげて下腹部にまで手を伸ばしたということだった。

 被害を受けた女性は悩んだ末、登坂アナの所業を札幌報道局に報告。登坂アナはNHKの局内調査に応じて事実関係を認め、上司から厳重注意を受けたと、関係者が証言している。その話は東京本局にも伝わり、NHK執行部が「登坂を今後、絶対に東京には戻すな」と激怒したことで、登坂アナは一度も東京に戻ることなく、局を去ったとされている。

 登坂アナは東京からやって来たNHKを代表する看板アナウンサー。一方、被害女性はNHKのローカル局と契約を交わしたばかりの新人アナウンサー。圧倒的な力の差を利用した、悪質極まりないセクシャルハラスメントであり、パワーハラスメントである。

 前述の通り、登坂アナは「週刊文春」報道後に『プライムニュース』から降板しているが、その後わずか数カ月でテレビに復帰。『ワイドナショー』(415日放送回・624日放送回)に出演したうえ、67日放送の『プレバト!!』は民放初ゴールデン出演となった。

 『プレバト!!』では、東国原英夫から<俳句は人間を更正させますから>とイジられる一幕もあったが、何からの<更正>なのかは明示されず、もはや笑い話になっているようだった。報道からさほど時も経っていないのにも関わらず、ほとんどなにごともなかったかのようにテレビに出演している。

 しかし、自身のセクハラ・パワハラについて登坂アナが反省を示しているのかといえば、そうは見えない。

 登坂アナは「婦人公論」(中央公論新社)2018424日号に出演し、セクハラ騒動についてインタビューを受けているのだが、そこで語られている言葉は、言い逃れと話のすり替えのオンパレードだった。

 登坂アナは、セクハラの状況について次のように釈明している。

<体調が悪くなってトイレに行った私は、戻る際に段差につまずいてしまったのです。壁に頭を強打してうずくまっていたところ、ちょうど相手の女性もトイレから出てきて「大丈夫ですか?」と声をかけてくださいました>

<そこで私は、彼女が「セクハラを受けた」と感じるような行為をしてしまったのです>

 「週刊文春」報道では、飲みの席でベタベタ触ってくる登坂アナに困った女性がトイレへ逃げ、それを登坂アナが追いかけたという話なのだが……。

 また、そもそも、頭を強打しているところに「大丈夫ですか?」と声をかけてくれたから、その女性のブラウスに手を突っ込んだりスカートをまくって下腹部を触ったりしたというのも支離滅裂である。そして、ここから先の説明が、またさらにわけがわからない。

<当時、私は心身ともに相当弱っていました。新天地では他局との視聴率競争のプレッシャーもありましたし、それと同時に東京での報道の仕事が増えていたこともあり、いろいろな意味でギリギリの状態。まさにエネルギーを使い果たしてしまった、という感じでした。仕事をたくさん抱えるなかで、パワーがかなりダウンしていた。気持ちも不安定になり、それまでの自分ではないような、ヘンな感じになっていたのです>

<相当、追い詰められていたのだと思います。そういう時期だったからこそ、ちょっとした相手の気遣いや優しさによって、自分の中の何かが崩れていってしまったのかもしれません>

 過度なプレッシャーや、仕事が原因となった心身の不調があったのはお気の毒だが、しかし、それがセクハラの言い訳にならないことは言うまでもない。変な言い訳をつらつらと並べたて、余計印象を悪くしている典型例である。

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