エンタメ

能年玲奈と高校野球「女子マネおにぎり問題」

【この記事のキーワード】

 この発言を、東スポは【まるで女性活動家のよう】【おっとりした言動とは裏腹に、意外と熱いハートを持っているようだ】と評した。瞬間、2ちゃんねるで立ったスレでは、条件反射的なミソジニーが躍った。

「女は少ない方が、ちやほやされるのにバカだねぇ」
「女性専用車両やレディースデイなど結構優遇してやっているだろう」
「レズなの?」

 といった定型文や、「演者は不自然なくらいに女や女に媚びたイケメンばかりだろ」という見当違いなツッコミが多数。演出側の大多数が男であり、「男のイメージする女」ばかりが垂れ流されることに違和感を覚えているという話を、わざと誤読しているか、はなから理解しようという気がないか。そもそも引用した東スポ上の能年玲奈の発言で、()によって補足されている部分も精確か怪しい。おそらく(キャストは)という部分は(スタッフは)の誤りではないだろうか。

 「女の子の世界観を女の子だけで表現できる場を増やしたい」と言っただけで、女性活動家呼ばわりされたのは、つまり、「男性様の関与できない場所で、可愛い女の子だけでごちゃごちゃやろうとするな」という意味だろう。そして能年玲奈がこれまで関わって来た仕事の現場で少なからずそういった意図を肌で感じ、冷静に観察してきたことの現れでもある。

 また、能年玲奈はバラエティ出演時の振る舞いが年齢よりも幼く見えるせいか、「ピュアで可愛い」イメージが強く、そんな彼女の発言だからこそ「オヤオヤ、どうしちゃったんだい?」と揶揄されたのだろう。しかし能年がバラエティ番組で幼く見えるのは、瞬時にトークの切り返しができるタイプではなく、言葉を選び整理してから口にするタイプゆえ、その態度がたどたどしさや拙さに変換されて見えたに過ぎない。それを「ピュアな女の子」と勝手に解釈し、思いもかけない自己主張をすると「フェミだ!」「レズだ!」「むかつく!」と彼女個人の資質のせいにして叩く空気は、社会全体を取り巻いている。

 おにぎりをせっせと拵える女子マネを「献身的な女の子」として偶像化し、清楚なイメージを投影された女優が「今の現場はおかしい」と問題提起すると「変な女」呼ばわりする。どちらも同質の社会問題だと考えられるうえ、日本の抱える少子高齢化や貧困格差にまで根底は通じている。あまりに根深く、ただの性差別でもないこの問題に、折り合いがつく日は来ないかもしれない。
(ヒポポ照子)

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。