「共働き両親の子供はおかしくなる」「子供はおぶってほしいと思っている」子育てをめぐるトンデモ言説に辟易!

【この記事のキーワード】

共働き・保育園・帝王切開・高齢出産。

 ベビーカーでの外出が当たり前になっている昨今だが、これは出産年齢が上がったことと無関係ではないだろう。晩婚化が進み高齢出産が珍しくもなんともない時代である。子育て中のお母さんは実際のところ、おばさんであることも多い。筆者もそうだ。ベビーカー“女子”という呼び名もちょっと違う感じだ。そんなおばさんからいわせてもらえば正直、10キロ近い子供をおんぶして電車に乗って外出なんていうのは狂気の沙汰である。次の日の自分は使い物にならないだろうという予感、というよりも確信を持ちながら外出するハメになる。最近、年寄りみたいに膝に水もたまってきた。子育ては体力が勝負だ。子供と向き合うだけで体力と精神力を消費するのだから、つまらないところに無駄遣いをしたくないとも思う。

 今回の炎上騒ぎ、子育て中の母親としては「またか…」ぐらいの気分で受け止めていた。ベビーカーについての議論は年に数回わき起こり、そのたびにそこそこの騒ぎとなるが、もうほとほと飽きた。育児が大変すぎて部外者のこうした主張にいちいち耳を傾けるのも面倒になるのである。ただ、もしこの記事を目にしたのが出産直後のホルモンが不安定な時期だったら産後うつに突入していたのではないかと思うほど、気分の悪い内容ではあった。

 実際のところ、筆者がベビーカーで外出していて辛い仕打ちを受けたのは、高齢女性から舌打ちされたぐらいだ。同じく東京で子育て中のmessy編集長も「20~40代くらいまでは男女問わず親切な方が多い印象を受ける」と語っており、確かに若い世代はベビーカーに寛容なイメージがある。子育て中の世代は男女問わず優しいようにみえるが、本当のところでは、この記事を書いたライターのように、勘弁してくれと思っている人も多いのだろうか。いろいろと考えると、また精神的に落ち込みそうだ。

 さて、このように子育てにおけるちょっと不思議な主張(=ただの自論)がいかにも正論のように繰り出されるのは珍しくなく、先日7日に行われた参院予算委員会に関する記事にもこんなくだりがあった。

『共働きの両親の子供は、おかしくなる』? 有村氏と蓮舫氏が“子育てバトル”

 10月7日の参院予算委員会で、蓮舫元行政刷新担当相と有村治子女性活躍担当相が争議したことを報じた記事だが、蓮舫氏は有村氏に対して「副会長を務める団体は『主婦が働くことで夜遅くまで預けられる子供が増え、社会を殺伐とさせる』と主張している」「あなたが過去に書いたエッセーには、どんなに読み込んでも『共働きの両親の子供は数十年後におかしくなる』と書いている」と糾弾。有村氏は「それは私個人の主張ではない」と退けたが、女性が働くことで子供に悪影響が及ぶという類いの主張は、国会の場のみならずよく目や耳にする。

 言わずもがな、このような主張は、【子育ては母親だけが担うもの】という価値観にのっとったものであろう。アベノミクスの成長戦略として「女性の社会進出」を挙げており、それに伴い女性の管理職を増やそうという動きも大手企業で進んでいるものの、やはり内心では母親が働くことを良しとしない層が存在していることがよく分かる。

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