児童館に馴染めないママ
児童館や支援センターといった施設は、未就学児を持つ親が誰でも利用できるもので、住宅地の中にひっそりと建っていたりする。基本的に子供を連れて行って遊ばせる場所だが、たとえば母親が病院に行くといった緊急の事態に、一時的に子供を預かってくれることもある。ただ、こうした施設は必然的に他のママさんや施設の職員との関係作りが必要になってしまうので、全てのママさんが上手く利用できるものではないようだ。
実際まわりに聞いてみると「児童館なんか行かなかった」「他のお母さんとのやり取りがめんどくせえ」というママさんはけっこういた。筆者も仕事復帰まで、“子供の小さい今しか行けない場所だ!”と取材気分でたびたび足を運んでみたが、挨拶替わりに「何カ月ですか~?」と他のママさんと子供の年齢を聞き合う作法や、作り笑顔の職員さんたちとの会話がだんだん面倒くさくなり足が遠のいた。それでも一度、児童館が開催している“小さい赤ちゃんとそのママのためのイベント”みたいなものに参加したことがあるが、そこに集う人々は皆、熱心な母乳育児信奉者で、オッパイの話題ばかりで疲れきってしまった。
こうして実体験から考えてみると、乳幼児期の子育ては、母・父・子の生活圏内に“関係の良好な家族・親族が住んでいるかどうか”で、大変度合が決まると言っても過言ではないように思えてくる。仲の良い実母や関係良好の義両親などが近くにいれば気軽に預けることもできるうえ、父母の体調不良など緊急時に頼ったりもできる。ただ、「関係の良好な」という点が重要で、毒親だったりモンスター義父母だったりすると、ときどきアポなしで襲来して嫌味をカマされたりするのでストレスにしかならない。また夫にどれだけ時間的な余裕があるかも影響する。子育てのメインを母親が担う場合、夫にほとんど休みがなく、頼れる家族も近くにいなければ、自治体や民間のサービスを利用するしかない。自治体のサービスは利用までの難易度が高く、民間は高い。子育て中の母親は、実際そう簡単に息抜きはできないし病気にもなれない、ひとりで黄昏ることもできないのである。
(鼻咲ゆうみ)