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恐妻家強盗vs圧倒的強者・魔女。男たちは逃げ切ることができるか

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 そんな男どもが、逃走途中で通過しなければならない村、スガラムルディ。
 そこは、昔から魔女が住むところと言い伝えられている。

 ここからが実に面白い。まんまと魔女たちの罠にはまる男たちの不甲斐なさだけでも十分お腹を抱えて笑えるんだけど、ちょっとやり過ぎじゃないかというくらい圧倒的なパワーを見せつける魔女たちからは目が離せなくなる。文字通り男を攻撃し、喰い殺し、とことんとっちめる様は、徹底的で圧倒的。彼女らにとって、男は殺すか監禁するか。世界は女だけで十分なのだ、少なくともスガラムルディでは。映画には、強盗を追う刑事ふたり組も登場するのだが、この男たちもどうでもいいことで諍いばかり繰り返し、とことん情けなく、うん、男は喰われても仕方ないよねという説得力が増す。

 久しぶりの獲物(=男)に、正月の実家さながら親戚の魔女たちらしき女たちがぞろぞろと集い、ぺちゃくちゃ噂話なんぞをしてる隙、なんとか逃げ出そうとする男たちだが、やはり大量の女たちに勝てるはずもなく……。唯一、男たちの味方になってくれそうな若く美しい魔女、彼女がキリストのためにとる行動がこれまた。魔女であろうと人間であろうと女は女、とにかく面倒で怖いんだという監督の強固な意志が感じられ、非常に笑える。

 映画のクライマックス、魔女たちによる魔女たちの儀式は、よくこんな馬鹿馬鹿しいものにここまで労力を使って撮影したなと感動を覚えるほど立派なシーンになっている。数百人の魔女たちが「男死ねー!」と大合唱する姿は、その極端な発想を色々批判することも可能だろうが、しかし、もうこの勢いとその光景に、とりあえず難しいことは置いておいて、一緒に盛り上がりたくなる迫力がある。そうだとにかく男は一回死ねばいいんだー! と。最終的にはデトックスムービーになるのだ。

 スペインのベテラン映画監督(男性)がなぜこんな映画を撮ろうと思ったのかの詳細は謎だが、女性の味方の「ふり」をしたいだけで、ここまで壮大なバカ映画を作るのは、肉体的にも精神的にも無理だろう。この映画には、素直に喜ぼう。世界の女たちの気持ちはひとつなのだと(魔女だけど)。

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