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他人の選択自由を奪ってまで夫婦同姓を固持する理由はあるのだろうか

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 「選択的夫婦別氏制度」への反対意見の一部には、「伝統的な家族観が壊れる」「家族の一体感が失われる」といった感情的な論調がみられる。しかし「家族の一体感が失われる」という主張も、同姓を名乗ることで絆を感じる夫婦もいるのだろうが、別姓だからといって「一体感が生まれない」と言えるのだろうか。

 また日本弁護士連合会が作成した「選択的夫婦別姓・婚外子の相続分差別Q&A」によると、別姓を名乗れるようになったからといって離婚率が高まるという証拠はないようだ。同姓、別姓あるいは結合姓(互いの姓をくっつけること)などを選択できる国の中には、離婚率が高い国も低い国もある。一方、同姓のみの日本は1990年から離婚率が上昇、2002年には2.30%と戦後最高の離婚率を記録している(その後は減少傾向にある)。これらから、離婚率と姓の制度に直接的な因果関係はないということが読み取れる。

 さらに、同資料によれば、かつては日本以外にも法律で夫婦同姓を強制していた国はあったが、姓の選択の自由を認める方向で改正され、現在ではほぼ日本のみとなっているそうだ。しかも日本は、国連の女性差別撤廃委員会から、2003年および2009年に、夫婦同姓の強制を問題視し改正を求められている。

 そういえば今月12日、渋谷区が同性カップルを結婚に相当する関係と認め、パートナー証明書を発行する条例案を区議会に提出するという報道があった。近年、セクシュアル・マイノリティなど従来の家族観では想定されていなかった人々の存在がようやく社会にも認識されてきた。そうした状況で、当たり前とされている「伝統的な家族観」に基づいて設計された社会制度には、もはやガタがきているのではないか。

 誤解しているのか、理解した上での批判かはわからないが、そもそもこれは、夫婦で同姓を名乗りたいと考える人々に対して、別姓を名乗ることを強いるという話ではない。同姓を名乗りたい人は同姓に、別姓を名乗りたい人は別姓に、という話だ。自らの権利が脅かされてもいない中で、なぜ他人の選択自由を許せず、批判に及ぶのかが不思議である。
(スノプラ男)

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