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産みたいけれど産めない現実とは?『私、いつまで産めますか?』

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不妊治療って、何をするの?

 『私、いつまで産めますか?卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存』(WAVE出版)では、4種類の不妊治療方法がわかりやすく説明されています。

●選択肢1:タイミング療法/妊娠率は5%、予算は1~4万円ほど
●選択肢2:人工授精/妊娠率は10% 予算は4万円ほど
●選択肢3:体外受精/妊娠率は約20~30% 予算は30~70万円ほど
●選択肢4:顕微授精/妊娠率は約20~30% 予算は50~70万円ほど

 最近では「妊活」というワードも認知度が高まり、有名人でも森三中・大島美幸さんが妊活休業を経て待望の赤ちゃんを妊娠中です。一方で、具体的にどんなことをするのか全く知らず、「ヤリまくるってこと?」なんてひどい誤解をしている人もいるようです。人気バンド「マキシマムザホルモン」のドラマー・ナヲさんがつい先日、「妊活」のための休業を発表しましたが、これを報じるネットニュースのコメント欄には、「妊活って要するに、ヤリまくる宣言だろ」などという無知にもほどがある書き込みが見られました。単純にセックス回数を増やしただけで、人間は簡単に妊娠するものだと思っているのでしょうか。

 「妊活」=「不妊治療」ではありませんが、上記4つの方法のいずれも、「100%」どころか、30%以上の受精確率を保障するものではありません。それゆえ不妊治療は、女性が肉体的にも、精神的にも、大きな負担を伴うものです。

 不妊治療をおこなうにあたっては様々な検査とカウンセリングを経る必要があります。飛び込みで受診して「卵子を保存してください!」と頼んでも、受け付けてくれる医療機関など存在しません。卵子を採取することが決まったら、卵巣を刺激して排卵誘発するために、女性は頻繁に通院して注射を打たなければならなくなります。採卵自体も、「膣の中にチョット棒を入れて掻きだす」なんて簡単でお手軽な作業ではなく、入院を伴うこともある立派な手術です。「リプロセルフバンク」で卵子の凍結保存をおこなう場合では、まずカウンセリングを受け、提携先病院を受診。次に2週間にわたって卵巣を刺激して排卵を誘発し、採卵手術は日帰り入院でおこなわれるそうです。

 著者は「医療行為を受ける、しかも手術を伴うことを軽々しく考えない、と約束してください」と念を押します。不妊治療はストレスが多く、クリニックに通うのは決して楽しいイベントではないそうです。こういった情報を得ることは、出産未経験であったり、自然妊娠できた人、将来的に子供を持とうと考えていない人にとっても有益です。不妊治療中だったり妊活中だったりという知人・友人に対して、無遠慮な質問や態度で傷つけてしまうことを避けられます。

 同著では高齢妊婦の流産の懸念や妊産婦死亡率についても言及しており、決して「お産はいいものよ~」とか「卵子は凍結保存できるから、いつでも産めますよ~」などと勧めるものではありません。あくまでも、読者が自らのライフプランを自分自身で考えて設計することを後押しするポジションに努めています。必要な情報を受け取ることで、楽観視せず、かといって悲観的にもならない、自分なりの妊娠・出産を考える一助になるのではないでしょうか。よく知りもしないでぼんやり「いつか産みたいな……でもでも、だってだって……」と一人で悩んでいても始まりません。現実をはっきり見据えたうえで、妊活にトライ。
(ヒポポ照子)

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