彼の浮気を許し、常に10品以上の和食を用意する“プロ彼女”という職業の是非

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 交際中はプロ彼女としてのキャリアを積み(=契約社員のプロ彼女、状況によっては契約期間終了の可能性も)、結婚(=プロ彼女としての正社員登用)を目指すというのも、ある意味女性としての生き方である。ただ、もし結婚してもらえなかった場合や、結婚後に夫が失職する可能性があることを考えると、かなり不安定な雇用だ。そうした不安は当然、どのカップルにも共通するもので、考えたらキリがないことも確かだが、彼と自分のみという狭い人間関係の中で生きることを良しとする「プロ彼女」を手放しで礼賛することはできないだろう。まして、「女の鑑」とはとても言えない。男性に尽くす女性が、男性に尽くさない女性よりも「女として優れている」という見方はできないからである。

 ただ、あえて「ViVi」を擁護するとすれば、同誌も決して「プロ彼女って素晴らしいよね! 読者のみんなも、プロ彼女を目指そう!」などと本気で提案しているわけではないことである。普通の彼女はトレンドを察知したオシャレファッションだが、プロ彼女はファッションもメイクも男目線優先のコンサバきれいめ。「ViVi」読者は圧倒的に前者であり、プロ彼女を目指そうなどと提唱しては、読者が「CLASSY」(光文社)あたりにごっそり移動してしまう。

 同企画はどちらかといえば、「プロ彼女っているらしいよ」「え~、ちょっとやりすぎじゃない? 引くよね~」「でも見習うべき振る舞いもまああるよね」くらいの軽いノリが漂っている。読者たちの身近にいる「プロ彼女たちのエピソード」もたくさん取り上げており、そこにはプロ彼女たちの犬並みに優れた聴力や、尋常でない気遣いっぷりをレポートして「忍者みたい」「逆に怖い」「さすがに引きました」とのコメントが並んでいる。読者もさすがに、これを鵜呑みにしてプロ彼女を目指そうとはしない。冗談含みの企画なのである。

 唯一、プロ彼女の「最も優れているところ」をあげるとするならば、過去の足跡を完璧に消すところだ。誰かにネットで情報を検索されても一切情報が出てこないように、ブログもSNSの過去ログもすべて抹消済、という周到さ。この危機管理意識は、プロ彼女のみならず一般読者も真似したいレベルだ。ちなみに、「猜疑心/依存心が強い」「彼を利用してのし上がろうという下心がある」女性は、プロ彼女向きではないとのことである。

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