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軽薄な若者の恋愛模様を演出して、どうしたいの? 映画『テラスハウス』による混乱

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 なぜ映画館に来てまで、タレントにしては中途半端なビジュアルの若者たちの猿芝居を見せられてるんだと、怒りにも似た感情が生まれてくるのは、私が『テラハ』ファンではないせいだろうか。『テラハ』ファンは、すべての予定調和を何の疑問も持たずにフムフム受け入れられるもんなんだろうか。

 どうやら彼、彼女たちは、テラスハウスから普通に出勤したり通学したり、自分たちの日常は画面外で普通に進行しているようだ(勤務先の有名企業の上司や専門学校の先生が実名で登場する)。ということは、色恋以外にもメンバーたちの人生はやるべきことがある、はずなのに、テラスハウスに入った途端、それぞれのホレタハレタ以外のことは一切会話にあがらない。その状態は、出演者たちより10歳以上年上の者からすると、明らかに普通ではない、 ちょっとしたホラーだ。果たしてこれはテレビ局の大人たちが想像する「軽薄な今どきの若者たち」と演じさせらている人たちなのか、それとも本当に軽薄なだけの今どきの若者たちなのか、まんまと混乱させられるのだ。どっちにしても軽薄なことは確かなんだけど。

 混乱を残したまま、「リアリティ・ショー」のテイで物語は進む。6人の男女が、テラハお勧めスポットめぐりでしかないデートをぐだぐだと繰り返すのだが、デートを経ても大したことは起こらない。それはこの出演者たちの心が動かなかったという現実の結果なのか、中途半端にカップルを成立させた場合に出演者たちの今後のタレント活動に支障があると考えたからなのか、ドラマチックな内容がなくても客が呼べるとふんだフジテレビの強気な戦略なのか……。「ドラマチックなことなんて起こりませんよ、だって、リアリティ・ショーなんですから」と言われてしまえばそれまでなんだろう。

 「テラスハウス」という流行の場所で、流行の登場人物になること、そしてそれが映画になること。今回は、1800円払っても、その結果、誰が何をしたかったのか、さっぱり掴めないまま終わってしまった。無念である。

 しかし劇場では私だけが部外者で、場内はまるで自宅でテレビを見てる感覚で、スクリーンに向かっていちいち派手なリアクションをとる10~20代の若者たちで大盛り上がりだ。彼女たちに、もうちょっとまともな映画を見た方がいいよとアドバイスしたくなる老婆心を自覚すると同時に、これから先、俳優としてやっていきたいであろうてっちゃんを別の映画で見かけたら、ちょっと気にしてしまうんだろうなぁと感じたりもしたのだった。

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