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おばあちゃんにはおばあちゃんの生活がある。祖母の一歳児殺害に見る家庭内育児の問題

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 一般的に、祖父母は孫を目に入れても痛くないほど可愛がる傾向にあると考えられている。しかしそれも、万人に押しつけられるものではない。普段は別の場所に暮らしていて盆暮れに顔を見る程度の関係と、同じ家で生活する家族関係とでは見方も少し変わる。一人の乳幼児を育てることは、誰にとっても容易ではない。保育園やシッターに託児するよりも家庭内で子育てを――という保守派の意見は今も根強いが、家庭に保育を任せきりにすることで生じる問題はいくつもあり、どちらがより「子供のため」になるのか善悪二元論や母性うんぬんでは語れない。

 また、同じ住まいに賃金労働をしていない「保育可能な人間」が住んでいると、保育園へ入園申請しても優先順位が低くなり通らなかったりする。子育て期の母親も、実母(子にとっての祖母)には「ちょっと子供を見ていて」と頼みやすいものだが、祖母には祖母の生活がある。実は筆者の知人女性Aさん(立場は祖母)が、「長女がしょっちゅう子供を預けに来るのよ」と愚痴を言っていたことがある。

 Aさんは専業主婦の母親として2人姉妹を育てたが、数年前に2人とも結婚、出産。現在Aさんは、定年した夫と、娘たちの出て行った広いマンションで2人暮らしをしているが、近所に住む長女がたびたび2歳の孫を預けに来るという。この長女は大手銀行の総合職でばりばり働きエリート街道を走る女性で、残業の時もAさんが保育園のお迎えと夕食の世話などをしてあげるという。長女の夫も激務で育児に時間をあまり割けない。Aさんは長女にベビーシッター料金を請求し、毎月10万円のシッター料を受け取るようになった。しかしある日、「久しぶりに夫とデートしてきたいから、子供を預かってほしい」と頼まれたAさんはキレてしまったという。

「だってあの子ったら、子供を産んだのに自分のことばっかりで! それに、私には私の生活があるし、孫の世話をするために70歳まで生きてきたわけじゃないの。孫は可愛いけど、この年齢になってまた子育てするなんてごめんよ」(Aさん)

 Aさんの言い分もわかるし、至極もっともだ。かといってAさん長女に「仕事をセーブして」とも言いにくい。セーブしたら閑職に回される可能性が高いと聞いているからだ。それでもAさんは「おばあちゃんだからって、何でも甘えられると困る」と憤っており、長女とやや険悪な関係が続いている。
(水品佳代)

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