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大炎上中の「子供いらない女性は人間失格」発言から考える。出産できる環境や状態って何だろう?

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 そもそも、金氏が言う“出産できる環境や状態にある”というのはどのような女性だろうか? 金氏が発言の念頭に置いている前提条件と、読者側の考える前提条件が異なれば、すれ違いが炎上を招くことは必然である。そこで今、“出産できる環境や状態”として考えられる条件をいくつか列挙したい。

・配偶者がいる
・妊娠・出産が可能な体であり、子供を望んでいる
・配偶者も子供を持つことに賛成し、妊娠・出産に協力的である
・妊娠・出産で一時的に離職しても経済的な心配がない
・近隣に保育施設が充実しており、生まれた子供が待機児童になる恐れがない
・出産後の職場復帰にあたって、降格などの恐れがない

 等が挙げられるが、今日の世の中でこの条件をすべて満たしている既婚女性がどれだけいるのだろうか。これらの条件の中に不安要素があり、子供を産みたい気持ちがあるにも関わらず、産まない選択をしている女性もいるはずだ。また、子供は「産めばそれで終わり」では当然なく、出産後、親にはおよそ20年前後にわたって子供を育て、社会に送り出す義務が発生する。その責任を重く感じていればいるほど、自分自身の将来に健康や経済面での不安がある人は、出産をためらう気持ちが起こるものだろう。

 「産まない権利を擁護することで地球上から人間がいなくなる」ことを危惧するのならば、金氏は産まない女性に意見するよりも、この産まない選択をせざるを得ない女性たちに目を向けるべきではないだろうか。産後の女性の社会復帰がスムーズにいくような仕組みを作ることや、保育園不足の解消、男女の不平等な家事育児労働負担を改善するよう働きかけるなど、「産める希望を持てる社会づくり」のほうがよほど建設的だ。そうした背景を無視して、「女性は出産すべし」と決めつける発言はあまりに暴力的である。人口の高齢化が着実に進行し、少子化問題の解決が急務の今。産めよ増やせよというのは簡単だが、出産適齢期の男女が「産める、増やせる」希望を持てない理由がこの社会にはある。まず彼らの置かれている状況を見直すことの重要性を、高齢世代の論客たちが理解することはそんなに難しいものなのだろうか。
(シュガー乙子)

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