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安藤美姫の出産と復帰に「呪い」をかける人々

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 まだまだあるが、すべて挙げればきりがない。しかし今回の騒動で、「現役で仕事をしている以上、妊娠・出産は周囲に迷惑をかける非常識な行為で、真面目に仕事をしていなかった証拠。デキ婚はもちろん、まして未婚の母などもってのほか。そのうえで『働き続けたい』など言語道断。とっとと仕事を辞めて育児に専念しろ!(ただし生活保護には頼るなよ、パートでもして細々と謙虚に暮らせ)」という価値観を持つ人々が、老若男女問わず、日本には大勢いるということが明らかになったことは確かだろう。また、五輪に出場するようなアスリートに対して、「ひたむきで健気な努力と、尋常ならぬ競技への集中」を一方的に求める身勝手な人々の存在も。

多様性を認めない国の生き辛さ

 この空気を察知した「週刊文春」(文藝春秋)は5日、同誌のメールマガジン会員を対象に「安藤美姫選手の出産を支持しますか?」というアンケートを行った。設問は、以下の2問。

「1         あなたは安藤美姫選手の出産を支持しますか?」
「2         子育てをしながら五輪を目指すことに賛成ですか?」

  これはTwitterなどで瞬く間に話題になり、同誌編集部には抗議が殺到。急遽アンケートは中止され、編集長が謝罪文を出した。

 もしアンケートが期日通り実施され、「支持しない」「賛成でない」派が半数以上だったら、それこそ「子供がかわいそう」に違いなく、人権侵害と言って過言ではない内容だが、安藤選手の出産を支持せず、競技復帰を否定する人々は、自身が他人の人権を侵害しているとは微塵も思わず、それどころか正義の味方のつもりで「苦言を呈しているだけ」と考えているのではないだろうか。

 上記に抜粋した以外にも、ネットでは、「ビッチ女の顛末を、美談にしようとしてるマスコミが気持ち悪い」といった意見をしばしば目にする。さらに「ビッチ呼ばわりされることを覚悟で出産、公表した安藤はすごい」という声まであり、「シングルマザーのステマじゃねえの」という冗談さえ飛び交っている。

 コンドームをつけてセックスをしても、絶対に妊娠しないというわけではない。誤解されがちだが、「中出しすれば100%妊娠する」わけでもなく、「妊娠したとうことはすなわち中出しをしたということ」でもない。コンドームをつけていたが妊娠、あるいはコンドームなしで挿入して、射精は膣の外でしたが妊娠した、という場合もある(後者は「中出ししてないのにデキちゃって〜!」とよく聞く話である)。

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