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安藤美姫の出産と復帰に「呪い」をかける人々

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 男女ともに「できちゃったらヤバい」相手とはどんな形であれセックスをせず、「できても大丈夫、愛もお金もある!」と言い切れる相手とのみすることができるなら、もれなく「祝福される出産」となるのかもしれないが、男女関係はそう単純ではない。そもそも、祝福するかどうかが個人の自由であると同様に、どのような恋愛をしてどのような出産をしてどのような子育てをしようとも、個人の自由だ。

 結婚について、出産について、子育てについての価値観は一様ではなく(もしすべての人が同じ価値観だったら、それこそ全体主義的でぞっとする)、その「多様性を認める」ことこそが今、ダイバーシティやらグローバルなんちゃらを謳う社会に求められているのではなかったか? であれば、「安藤選手の出産を支持しない」価値観を認め、「母親は子育てに専念すべき」という価値観も認め、そのうえで「支持する」「母親は子育てよりも仕事をすべき」という価値観も認められてしかるべきである。(「女性に優しい」「老人に優しい」「障がい者に優しい」「子供に優しい」社会にしよう、という言い方をしてしまうと、その“弱者枠”に当てはまらない人間にとっては面白くないため、理解も得られにくい。「優しくしよう」ではなく、「他人の人権を踏みにじるべからず」と言うのが正しいのかもしれない。)

セックスをするすべての男女が「叩かれる」側になり得る

 話が逸れたが、「そもそも未婚」か「既婚からの離婚or死別」かを問わず、誰でもシングルマザー・シングルファザーになる可能性は大いにある。『もてもてナインティナイン』(TBS系)のお見合い企画や、『とんねるずの皆さんのおかげでした』(フジテレビ系)のワケありねるとん企画(参加女性のほとんどが、バツイチ子持ち)を見ても、シングルマザーはザクザクいる。ネット上の相談系掲示板にも「彼との間に子供ができて、結婚の予定でしたが、妊娠8カ月の時に別れちゃいました」「出産前に、彼に逃げられました。もう堕ろせないし産むしかない」という告白がたくさん投稿されている。

 どんな相手と交際していても、セックスをしている限り女たちは未婚の母になる可能性が常にあるし、男たちも「産後すぐに嫁が死んだ」「嫁が蒸発した」などの理由でシングルファザーになる可能性はあるわけである。もし自分が、またはあなたの娘が、息子が、その立場におかれたとき、社会が「ふしだらだ」「そんな相手を選んだオマエが悪い」「最低、子供がかわいそう」「仕事も育児も決しておろそかにするな」と責めてきたら、どうだろうか。安藤をバッシングして「ろくな子供に育たない」などと呪いの言葉をかける人々は、「私だけは清廉潔白で誰にも後ろ指をさされることなき人生を送れる」と、信じているのだろうか? しかしここで呪いをかけ返しては負の連鎖になる。ゆえに、その美しき人々が、満足な人生を送ることができますよう、お祈り申し上げます。

(文=ヒポポ照子)

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