老いで皮膚は薄くなる。ヒアル注射でパンパン化しないために

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――なんか、皮膚がパーンと盛り上がりすぎて、目がすっごく小さく見えてしまう現象もありますよね。

三苫先生「実は眼球も老化によってキュッとしぼんでくるんですよ。お若いころより眼球自体が小さくなって、膨らんでいる目の周りの皮膚に埋もれてしまう。ですから、目以外の部位はパンパンなのに目がやけに小さい現象は起こり得ることですね。また、ヒアルロン酸などによって目の周囲を膨らませなくても、たるんだ皮膚に囲まれることで目が小さく見えていくのは、70~80代のおばあちゃんたちを見てもわかることですよね」

――眼球を大きくすることは出来ないのですか?

三苫先生「眼球の治療はできないのですが、目の周囲の皮膚を治療することによって、全体の改善をすることはできますね。たとえばヒアルロン酸の打ちすぎでパンパンになってしまっているのであれば、ヒアルロン酸分解酵素を打って」

――早く分解できる?

三苫先生「その場で分解されます。ただ、そうなると今度は肌のハリはなくなるし、シワができてきます。なので、その辺のジレンマはあると思うのです」

――どちらを取るかということですよね。

三苫先生「そうですね。しかし一般に『アンパンマンみたい』と揶揄される方でしても、それを患者さんご本人が良しとしていれば、それはそれで宜しいかと思います」

――静止画像では完璧なのに、動画では違和感が出てしまう方もいらっしゃいます。たとえば昨年~今年にかけていくつかの地上波テレビ番組に出演し、「写真と全然顔が違う」「おかめさんみたい」と視聴者を騒然とさせた某モデルさんがいます。特に頬骨の膨らみやタラコすぎる唇が不自然だと。

三苫先生「静止画だと整っているのに、動画だと不自然だということなのですね。それは恐らく、どのような方も、自分で鏡を見る時にバリエーションに富んだ表情をいくつも作ったりはしないと思うのです。ですから、微笑みを浮かべた表情で鏡にうつるのであれば適量に見えると思うのですけど、大きく口を開けて笑ったり喋ったりすると、表情筋に合わせて動く注入物が、見る側に違和感を与えてしまうのかもしれません。特に目の下部分は皮膚が薄い人が多く、ボリュームが落ちて加齢の変化が出やすいところ。つまりそこに注入物を入れてハリを出すとパッと若く見えるのですが、度が過ぎてしまうと笑顔が不自然になってしまったり、浮腫んだようになってしまったり、そういう状況が起こることはあります」

――顔の筋肉がどうなっているのかを、私自身理解していなかったので、こういったものを持参しました。

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三苫先生「口角頬筋とか大頬骨筋とかは、笑うと上に持ち上がるところですね。頷聯筋という目を閉じる筋肉のあたりが通常、加齢で痩せて気にされる方が多い箇所です。ここに何らかの注入物を入れるオーダーは多いのです。しかしそれを入れすぎてしまうと、笑った時に少しムクッと、筋肉と一緒に盛り上がって見えてしまうというか。笑う表情を作らなければ比較的自然だったりするのですけど、またそれも注入量によるので……」

――ヒアルロン酸は、時間が経てば体内に吸収されていくのですよね?

三苫先生「基本的にはそうです。でも、注入物や注入箇所によってはきちんと治療しないと戻りにくかったりもします」

――戻りにくい、ですか?

三苫先生「目の周りなど、皮膚が薄いところはヒアルロン酸自体が残りやすい場所でもあります。なので、一回注入してしまうと何年か残ります。それに対して、口の周りは少し堅い組織があるうえモノを食べたり喋ったりで何かと動く箇所なので吸収されやすく、ほうれい線を浅くしようと注入して『1~2年はもつ』と予想していても、半年~9カ月後には吸収されて元通りになったり」

――ほうれい線を薄くする治療は、ヒアルロン酸がメインなのですか?

三苫先生「今のところ、それが主流だと思われます。あとは先ほども挙げたレディエッセですね。歯や骨を形成する“カルシウムハイドロキシアパタイト”が主成分の、長期(2年ほど)持続型のジェル状製剤で、鼻を高くしたり顎を出したり、大きいシワを目立たなくしたりするのに用いられます。ヒアルロン酸同様に、注入してから1~2年程度で吸収されてなくなります」

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