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小籔千豊はなぜ、「美女礼賛」の男社会に斬り込まないのか?

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小藪は「オバハンコスプレ食堂」をやれ

 小藪の「美魔女ブーム批判」自体も、やや極端ではある。外見だけを取り繕って家族への奉仕を怠る“お母さん”よりも、少ない給料の中でやりくりして外見に気を回す余裕のない“お母さん”のほうが偉い、と決めつけてしまっている。美しく装っている女性への嫌悪感がはっきり存在する。

 また、小藪が「SAPIO」で提示した例で、『学生街で食堂をやっているオバハンがそれまで週6で営業して学生たちの腹を満たしていたのに、ある日突然「美」に目覚めて「じゃ、私ちょっとエステに行くわ」とお店を休んだら、お腹を空かせた学生たちは困るやろ』という部分があるが、食堂従業員のオバハンにとってお腹を空かせた学生たちは養育すべき実子ではないし、食堂が休業していれば学生はよその店へ牛丼でもなんでも食べに行けばいい。さらに、『シャネルやエルメスで身を固めた人に「サバの味噌煮です」って飯を出されたらどうする? 割烹着を着たオバハンが出す方が絶対うまいのに』と、書かなければいいのに余計な偏見を露呈してしまっている。食堂のオバハンの例をあげてしまったばっかりに、小藪の持つ「着飾った女性は料理の腕が悪そう」という偏った価値観が露わになっているわけである。

 ブランド服で着飾った人の出すサバ味噌も、割烹着のオバハンが出すサバ味噌も、同じサバ味噌なのに、小藪はその「雰囲気」を食べたいのである。割烹着のオバハンが出す「雰囲気」に安心したいのだ。これは「女性社員の出すお茶は美味しい」と似ている。それならそういうサービスの店で飲み食いすればよろしい。キャバクラに疲れた人のための「割烹着オカンの食堂」、きっと流行る。

 そして彼には是非とも、「若く美しい女を“のみ”、女として認めてやる」という男性側の問題に斬り込んでほしい。手始めに、吉本芸人仲間たちと「女とは何か」討論番組をしてみてはいかがだろうか。マンネリ気味の『すべらない話』よりも、話題性は強いかもしれない。
(ヒポポ照子)

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