
何色だっていいじゃない! レインボー週間は5月6日まで。Photo by LGBTQ Portraits Project from Flickr
ワタクシ、LGBTをテーマにした記事を淡々とmessyにて書きつづけてきましたが、ここ最近、LGBTという文字を新聞などのお堅いメディアで目にする機会が一気に増えた気がします。おそらく4月1日から東京都渋谷区で、『渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例』(俗に言う同性パートナーシップ条例)が施行されたからでしょう。
messyでもすでに複数回取りあげてきた「同性パートナーシップ条例」ですが、改めて内容をおさらいしときます。渋谷区によるとこの条例は、
「性別等にとらわれず、多様な個人が尊重され、一人ひとりがその個性と能力を十分に発揮し、社会的責任を分かち合い、ともにあらゆる分野に参画できる社会の実現を目指す」
もの。性的少数者に対する社会的な偏見および差別をなくし、性的少数者が個人として尊重されるために、区長が「男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備える戸籍上の性別が同一である」二人に対して、「公序良俗に反しない限りにおいて、パートナーシップに関する証明」を発行してくれるそう(施行はもう少し先ですが)。
つまり渋谷区内に住む20歳以上の同性カップルを、「結婚に相当する関係」と認めて、たとえば区営住宅の入居資格が得られたり、事業者が認めた場合は入院時の面会や、手術の同意書へのサインができるといった効力を発揮する有料の証明書を、区が発行してくれるように。これによって「家族ではないから診療情報を提供してもらえない」「家族向けの区営住宅に入居できない」といった、同性カップルが抱えていた不利益が解消されることが期待できるようになりました(以上説明終わり)。
「設立は喜ばしい。LGBT支援の大きな第一歩だと思う」
「パートナーシップ証明には興味ないけど、法的な形では存在を認められてなかったLGBTについて、はじめて行政が言及したのはうれしいこと。渋谷区に引っ越したくはないけど、素直に喜んでいる」
など、セクシャル・マイノリティの方々からは、条例に対して歓迎の声があがっていました。
渋谷区はほんとうにマイノリティにやさしいのか?
とはいえ成立前の3月26日におこなわれた総務区民委員会では、委員8名のうち自民党所属議員の2名が反対。31日の本会議では、31名のうち自民区議ら10名が反対していました。そして自民党の谷垣禎一幹事長が、「自分の価値観にしたがって答えていいのか非常に迷うところでございます」と言ったかと思えば、菅義偉官房長官も「政府としてのコメントは控える」と語るなど、与党界隈からはネガティブな意見もあったようです。
そして――。
マイノリティにフレンドリー(と思われる)な渋谷区は2010年9月15日の朝、山手線線路脇にある宮下公園から、当時約30名いた野宿者を追い出して公園を全面封鎖しています。そして同じ月の24日には行政代執行により、公園内の荷物などを撤去。10年契約で同公園のネーミングライツ権を取得したナイキによる『宮下ナイキパーク』に改修するための工事を着工しようとしました。
野宿者を支援していた人たちは、彼らを力尽くで排除しようとしたことや、ネーミングライツ選定委員会のメンバー選定などに不透明な点があることなどに対して、渋谷区に国家賠償を請求。今年3月に東京地裁は区に、元野宿者に1人11万円の支払いをするようにとの判決を下しました(渋谷区は控訴中)。
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