そして2014年12月26日から翌年1月3日にかけては、支援者が炊き出しを予定していた宮下公園と近くの美竹公園、神宮通公園を封鎖。つまりこっちのマイノリティにはやさしいのに、あっちのマイノリティは排除って……? と思われかねないことを、2015年3月までのあいだにしてきたのです。
「宮下公園の改修に関しては、進め方が悪かったという思いはあります。そして前区長は猪突猛進型でしたが、自分が区長になったら、もう少し寛容性を持ちたいと思っていますが……」
新区長、かく語りき
以前そう語っていたのは、4月26日の統一地方選で渋谷区長に選ばれた長谷部健さん。パートナーシップ条例のアイデアマンでもある彼は、再選を果たした伊藤たけし区議とともに、宮下公園のリニューアル計画にも関わっています。LGBTの友人も多いという長谷部区長は「ホームレスを排除したいと口にしたことは一度もない」し、いずれのアイデアも「渋谷の街をよくしたい思いから生まれた」ものだと説明しています。
「感度の高いゲイの人たちのクリエイティブ力を借りて街づくりをしていくことは、ずっと流行を発信してきた渋谷だからこそできると思ったんです。いろいろなご意見があると思いますが、まずは今までおカタかった渋谷区がパートナーシップ条例という切り口から、マイノリティ支援の風穴を開けたことに注目してもらえたら」(長谷部区長)
電通ダイバーシティ・ラボが2015年4年に全国7万人を対象に調査したところ、約7.6パーセントがLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの意味)で、市場規模は5.94兆円あると算出されたそうです。つまり〈レインボー消費〉(命名は同社)は今や、新しいマーケットとして注目されている模様。
でも当事者はモノを売りつけられるためにLGBTやってるワケじゃないだろうし、みんながみんなオシャレで感度が高いってワケでもないだろうし、野宿者のなかにもセクシャル・マイノリティがいるかもしれないし……。
若干モヤっとした気持ちを抱えていたところ、渋谷区では4月26日(統一地方選挙の日)に、今年も東京レインボープライドがおこなわれました。その模様は後篇でご紹介します!
>後篇「LGBTの多様性は誰かに活用されるためのものじゃないーレインボープライド’15レポ」はこちらから。
(文=久保樹りん)
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