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所沢市だけの問題じゃない「第二子出産で保育園退園」

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 本稿を執筆するにあたり、いくつかの資料をあたったところ、この懸念が確からしいと感じる文言が「子ども・子育て支援法」の中にありました。

 内閣府が作成した「子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK みんなが子育てしやすい国へ。すくすくジャパン!」の、保育所などでの保育を希望される場合の保育認定について説明されている14ページに記載されていました。

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「保育を必要とする事由」

就労
妊娠、出産
同居又は長期入院等している親族の介護・看護
災害復旧
求職活動
就学
虐待やDVのおそれがあること
育児休業取得中に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること
その他、上記に類する状態として市町村が認める場合

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 以上10項目いずれかに該当し、「保育の必要量」「優先利用への該当の有無」などが考慮された上で、「保育が必要」と認められるようです(「保育の必要量」「優先利用への該当の有無」については資料を参照して下さい)。

 ここで注目したいのは「育児休業取得中に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること」という項目です。これはおそらく、第一子が保育園を利用しており、第二子出産後に育児休業をとった保護者を対象にしたものでしょう。最初に書いた所沢市が想定するケースと同様です。

 「継続利用が必要であること」は、必要がない場合は、保育園を利用できないということですから、上記の他の9項目のいずれかに当てはまらない保護者は基本的に保育園を利用できないと定められていることになります。つまり、所沢市に限らず、そもそも「子ども・子育て支援新制度」そのものに、育児休業を取った保護者は保育園を利用できないという考え方が組み込まれている、ということになるのです。

 そして、所沢市の運用を皮切りに、待機児童問題を解消したい自治体が類似する制度を施行していくかもしれません。そのことを石上会長は懸念していたのでしょう。

 前出の記事によれば、集会に参加した原和良、北永久弁護士が「育休は単なる休暇でなく休業後の準備期間であり、就労の一形態。運用改悪は保護者、母親の育児休業権の侵害」という考えを示しています。

 国や自治体は、「自分の子どもは保護者が育てるべきだ」と考えているのでしょう。しかし、例えば10項目には該当しないが、なんらかの困難を抱えているために2人同時に育児する余裕はない家庭もあるかもしれません。少なくともこのような姿勢を見せる所沢市は、第二子を産みたいと考える家庭、出産を考えている家庭にとって魅力的な自治体には移らないでしょう。早急な少子化対策の必要が叫ばれ続ける中、それに逆行した制度が全国に広がるかもしれないのです。

 埼玉新聞によると、両弁護士は、「6月初めには暫定的に『育休退園』の仮差し止めの訴訟を起こす構えを見せている」ようです。今後、全国の自治体がどのように動くかも含め、注目したい問題です。
(水谷ヨウ)

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