周囲を見ると、警察を挟んでプラカを掲げるキリスト教系信者と、おそらくイベントを見るためにやってきたであろう青年が、言い争いをしている模様。Oバックいっちょで歩くパレード参加男性の写真を使いながら「朴元淳(パク・ウォンスン)市長様 私達幼い子女たちを保護してください。ソウル広場同性愛祝祭を 児童生徒の親たちは反対しています!」とあるプラカに対して、彼は怒りの声をあげていたのだ。
「いくらモザイクをかけたといっても、これでは誰だかわかるだろ!」ーーなんでも写真に掲載されているのは友人で、反対団体に使用許可など出しているはずもない。なのに肖像権に配慮せず勝手に利用したことを、彼は怒っていたのだ。ほどなくして写真の主も駆けつけ、肖像権侵害で訴える意志を表明したけど、逆に2人の方が警察に、その場から離れるように指示されていました。
さらに同じ場所で開かれていた、軍刑法の人権改善を要求する記者会見に対しても、反同性愛団体関係者は「これでもか!」という具合にプラカを見せつけにかかります。手にレインボーのペイントを施し、レインボーのミサンガを巻いていた記者会見の参加者が、今にも崩れ落ちそうな表情で彼らを見ていました。
アナルセックスでは死なない(当たり前)
無理もない。同性愛は趣味ではなく属性なのに、なぜ勝手な理屈で糾弾されなくてはならないの? 韓国語がよくわからないワタクシはかける言葉を持たず、この方に東京のパレード会場で購入した「SUPER ALLY(LGBT支援者の意味)」バッジを見せるのが精いっぱい。でも少し笑ってくれたので、ほっとした気持ちもなりました。
ちなみに帰国後、知人のゲイ男性に「アナルセックスすると5年で死ぬらしいって韓国で言ってた」と話したところ、
「5年以上前にしたけどまだ生きてるし。アナルが5年ならオーラルセックスは何年で死ぬの? 病気で死ぬの? 罪で死ぬの? ゴム使えば延命するの?」
と、疑問を抑えきれない様子でした。彼自身、社会にも神様にも認められていないと悩んだ時期があったそう。だからこそ、
「クィア文化祭りの『愛せよ、抵抗せよ、クィアレボリューション』を自分も熱く叫びたい! 生き方はひとつじゃないし、君は間違っていない! 抵抗はカッコいい! 世界中に味方はいる!」
ステキなメッセージまでいただいてしまいました。そう、抵抗はカッコいいし、マイノリティはひとりじゃない。
28日には広場を起点にしたレインボーパレードが開催されることになっているけど、警察はスタート地点からすぐ近くの場所を、反同性愛団体による集会使用にOKを出したのだとか。ってことは、パレードが妨害されることもありそう……。「自分らしい性」を踏みにじられたくないから、私も応援に駆けつけることにしました! だからぜひ皆さんも、一緒に連帯しませんか?
(写真・文=久保樹りん)
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