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子どもがほしいと思った百合カップルの妊活奮戦記『ゆりにん』が伝えたいこと

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 もうひとつ大きかったのは、亡くなった母親とのこと。辛い思い出がたくさんありながらも、妊活するまではほとんど忘れていたそうです。

「ずっとうちの母親は、LGBTに理解がある、よい親だと思ってたんですよ。でも子どもの頃、包丁を投げられたり殴られたりした記憶が、妊活中によみがえってきて……。牡丹とつき合いだして少し経ったばかりの1989年に母は亡くなっているので、それ以降はダメな親だったって記憶を封印していたのでしょう。またシングルマザーだった母の恋人から、性的虐待を受けた記憶もフラッシュバックしました。被害に遭った際に足を強くつかまれたので、牡丹に初めて会った頃に『足は触らないで!』と言っていたらしいんですけど、全然覚えてないんです。トラウマすぎて忘れていたんでしょうね」

妊活の次なる人生設計

 41歳からスタートして約15回チャレンジしたものの、結果に結びつかなかった。そして寛解(症状が落ち着き、見かけ上は症状が消えたように感じる状態)していたリウマチの症状がでたことで、1年半で妊活をリタイア。それでも「やって良かったと思う」と、藤間さんは言います。

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「子育てにはお金が本当に必要なことなど、わからなかったことがいっぱいわかるようになったので、やってよかったと思います。私は母も姉も子どもを複数産んでいるので、簡単に妊娠できると思っていました。でも1年半チャレンジしたのにできなかった。ショックは大きかったですね。だから本気で子どもが欲しい人には、『今はお金がない』とか『まだやりたいことがある』とか言わないで、すぐに妊活を始めてと言いたい。私は25歳の時に一度、牡丹との子どもを持ちたいと考えましたが、今よりもぜんそくの症状が重かったので、病気を理由にあきらめました。でも41歳での妊活は成功しなかったので、あの時チャレンジしていればとの後悔があります。10代では早いかもしれませんが、アラサーの人で迷っているなら、すぐ始めるべきだと思います。要は勢いですよ!(笑)

 『ゆりにん レズビアンカップル妊活奮闘記』はwebコミックと同人誌にて連載していたものだけど、単行本バージョンでは描き下ろしページや姉夫婦のエッセイなどを加筆して、715日に発売されます。藤間さんは現在も作家として活動するかたわら、節約生活に励んでいるのだとか。それは妊活中に人生設計を立てるようになり、マンションを購入するに至ったからだと明かします。

「でも登記は牡丹と牡丹の父親名義で、私はありません。夫婦として入籍していないので、銀行には『たとえあなたがお金を持っていても、共同名義にするのはムリです』と言われました。だからマンションに関しては牡丹任せなのですが、ローンを繰り上げ返済するために、最近はできる限り節約しようとお弁当を作ったりしています(笑)」

 『ゆりにん』の次作はひょっとして『ゆりまん』? 末永くお幸せに!

 

(取材・文=久保樹りん)

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