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増えるデートDV 「男がリードしなければならない」という思いと心理的攻撃

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心理的攻撃が増加している

 さて、この「デートDV」という言葉。実は統一的な定義づけはされていないようです。「結婚前の恋人間の暴力」や「若者の恋人間の暴力」とする団体もありますが、「恋人間の暴力」と考えれば間違いはないでしょう。

 デートDVという言葉は既に広く知られているといってよいでしょう。例えば平成27年度3月に内閣男女共同参画局が発表した「男女間における暴力に関する調査」の「交際相手からの暴力(デートDV)の認知度」には、「言葉も内容も知っている」「言葉は知っているが内容はよく知らない」とする回答者が61.4%いたと書かれています(女性63%、男性57.6%)。

 また被害経験は微増傾向にあるようです。平成21年度の報告書によれば「交際相手から“身体的暴行”“心理的攻撃”“性的強要”のいずれかをされたことが『あった』」と答えた人は全体で9.3%(女性13.6%、男性4.3%)。平成23年度の報告書では、全体で10.1%(女性13.7%、男性5.8%)。そして平成27年度の報告書では「身体的暴力、心理的攻撃、経済的圧迫、性的要求」のいずれかを受けたことがあると答えた人が、全体で14.8%(女性19.1%、男性10.6%)となっていました。

 平成27年度報告書には「経済的圧迫」が新たに加えられているため単純な比較はできません。またデートDVという言葉の認知度が高まったために、いままで認識のなかった人が「自分はデートDVを受けていた」と気付いたために数が増えたという可能性もあります。ただ、「デートDV」の認知度は若干下がっている(平成23年度の認知度は66.1%)ので、その可能性はここではひとまず排除します。

 この数年でデートDVを増加させたのはどの要素によるものなのか。簡単なグラフを作成してみました。

 dateDV

  「心理的攻撃」が全体と同じ動きをしている。「心理的攻撃」の増加がデートDVを増やしていると考えられます。

 以前、タレントの加護亜依さんが夫(離婚調停中)に暴行を加えられたという報道の際に書いた記事で(「加護亜依、離婚協議中の家庭内暴力報道。最高裁判所データに見る「日本の離婚理由」TOP3にもDV」)、離婚動機としてDVが多くあげられている点、そして「精神的虐待」が増加傾向にある点を指摘しました。デートDV同様に、「精神的な攻撃」が問題になっているわけです。

 本記事の冒頭で、SEAN事務局長の遠矢さんの「恋人同士の束縛は否定的な一方で、性的欲求には理解が進んでいない」というお話を紹介しました。しかし本記事で示したデータをみると、束縛に対して否定的ではあるものの、心理的な攻撃は増えてしまっている、あるいは可視化されつつあるとも考えられます。既に市民権を得たDVという言葉ですが、理解はまだまだ深まっていないのではないか、と改めて思いました。
(水谷ヨウ)

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